アパレル業界だけではありませんが、店舗において棚卸し業務は必ず行われるものです。
しかし、棚卸しを実施する意味を正確に理解し、利益向上に繋げることができている人はあまり多くないかもしれません。
- アパレル業界の棚卸しとは?
- アパレル業界の棚卸しが大変な理由
- アパレル業界で棚卸しを行う重要性
- アパレル業界の棚卸しを行う手順
- アパレル業界の棚卸しで差異が発生した時の対処法
この記事では上記の内容について解説し、店舗の在庫を正確に把握するための手助けをさせていただきます。
店舗の在庫を正確に把握することは利益向上に直結する重要なことですので、ぜひお役立てください。
目次
アパレル業界の棚卸しとは?
そもそも棚卸しとは何か?ということについて説明していきます。
棚卸しの概要を理解していないと店舗運営に活かすこともできないため、おさらいのためにも確認しておきましょう。
- 記録と実際の在庫に差異がないか確認する作業
- 多くはシーズンの変わり目の時期に実施
- 実施する時期はメーカーによって異なる
記録と実際の在庫に差異がないか確認する作業
棚卸しとは、帳簿に記録している在庫数(理論在庫)と実際の在庫数(実在庫)に差異がないか確認する作業のことです。
棚卸しをしなければ在庫が曖昧になってしまい、正確な在庫数を把握することができません。
多くの現場では、以下の計算式が使われています。
先月末の在庫数-今月の売上数+今月の納品数-返品や廃棄処分数
上記の計算式で求められる在庫数と、実際の在庫数を照らし合わせるのが棚卸しの役目です。
多くはシーズンの変わり目の時期に実施
アパレルの棚卸しの多くは、シーズンの変わり目に行われます。
アパレルにおいてシーズンの変わり目は商品が大きく入れ替わる時期であり、不良在庫等を把握しておくべき時期だからです。
もし棚卸しをせずにそのまま業務を遂行してしまうと、不良在庫の数も正確に把握できないまま、雑な売り場になってしまいます。
非常に手間のかかる作業ではありますが、健康的な店舗運営をするには絶対に必要な作業です。
実施する時期はメーカーによって異なる
多くはシーズンの変わり目に行われるアパレルの棚卸しですが、メーカーによって違います。
もちろん、メーカーによって取り扱っている商品も違えば、方針も様々だからです。
- 年に1回(決算期)
- 年に2回(決算期・中間決算)
- 年に4回(春・夏・秋・冬)
棚卸し回数が多ければ正確に在庫を把握することができますが、その分多くの人的リソースが必要になります。
そのため、年に1回でもいいと考える企業もあれば、年に4回は必要と考える企業など様々です。
アパレル業界の棚卸しが大変な理由
アパレル業界の棚卸し作業は、以下の理由から他の業界に比べて大変だと言われています。
- 商品単価が高い
- 万引き・紛失による差異
- 営業をしながらの実施
商品単価が高い
アパレル商品は商品単価が高いため、在庫管理が非常に重要です。
100円ショップの商品がひとつなくなる場合に比べ、アパレル商品の損失額は大きくなります。
ハイブランドの商品であれば数万円の商品もあり、ひとつ足りないだけでもかなりの打撃となってしまいます。
ひとつの差異が出ただけでも大きな問題となり、原因を突き止めるまで辞めれないアパレルの棚卸しは大変です。
万引き・紛失による差異
アパレルで棚卸しを行なっていると、万引きや紛失が原因だとがわかることがあります。
万引きや紛失が原因の場合、警察への届出や会社への紛失届などの提出をしなければいけないので大変な作業です。
事実、店舗をひとりで回していたり死角の多い店舗の場合、万引きは多発してしまいます。
万引きや紛失でなくなった商品はそのまま損失額となるため、何か対策をしなければいけません。
万引きや紛失が発生していると大変ですが、正確な数を把握するためにも棚卸しは必要な作業です。
営業をしながらの実施
アパレルで棚卸しをする場合、営業をしながらの作業を余儀なくされる場合があります。
もちろん店舗によって違いますが、年中無休の店舗の場合は通常営業を行いながら棚織し作業を進めるからです。
しかし、棚卸し作業をしながらも、お客様を優先させなければいけません。
- 棚卸し作業を進める
- 接客をする
- 元の場所から棚卸しを再開する
上記のような作業となり、マルチタスクとなるため非常の作業は困難です。
また、元の場所から棚卸しを再開すると、どこまで作業したか忘れてしまうこともあります。
アパレルでは営業しながら棚卸しをする店舗もあり、非常に大変です。
アパレル業界で棚卸しを行う重要性
アパレルでは棚卸しが重要な役割を担いますが、その重要性をいまいち掴めていないこともあります。
しかし、重要性をしっかりと理解することでより効果を発揮しますので、以下の点を抑えておきましょう。
- 在庫管理の徹底
- 正確な利益の確認
- 効果的な経営戦略を立てることが可能
在庫管理の徹底
棚卸しには、在庫管理を徹底させる役割があります。
帳簿上の在庫と実際の在庫を照らし合わせることで、正確な在庫管理ができるようになるからです。
しかし、棚卸しをしていない場合は在庫管理があやふやになり、知らない間に在庫が大きくずれていることがあります。
店舗の在庫管理を徹底することは状況を把握する上で重要ですので、棚卸しは必要な作業です。
正確な利益の確認
アパレルの店舗で棚卸しをすることで、正確な利益を確認することができます。
棚卸しを行うことで、帳簿上の在庫ミスや紛失した商品などが明確になるからです。
実際、帳簿上の利益と実際の利益は異なっていることもあり、確実に経営状況を把握するのに棚卸しが役立ってくれます。
万引きや紛失などでなくなった商品も把握し、正確な利益を確認しましょう。
効果的な経営戦略を立てることが可能
アパレルの店舗で棚卸しを行えば、今後の効果的な経営戦略を立てることができます。
棚卸しを行うことで様々な問題が浮き彫りになり、対策を練ることができるからです。
- 紛失への対策
- 万引きへの対策
- 不良在庫の処分
- 売れ筋商品の把握
例えば上記のとおり、棚卸しで見えてくることがたくさんあります。
効果的な経営戦略を立てることで売上の向上や損失の軽減に繋がり、最終的には利益の向上を実現することが可能です。
アパレル業界の棚卸しを行う手順
具体的に、アパレルの店舗で棚卸しを行う手順について解説していきます。
以下の手順で棚卸しを行うことで、正確な在庫を確認することが可能です。
- 帳簿にミスがないか確認
- 実際の在庫を確認
- 帳簿上の在庫と実際の在庫に差異がないか確認
帳簿にミスがないか確認
まずは実際の在庫を確認する前に、帳簿上にミスがないか確認しましょう。
実際の在庫を確認したとしても、帳簿が間違っていれば意味がありません。
- 計算ミス
- 入力ミス
- 入力忘れ
例えば上記を確認し、正確な帳簿を作るようにしてください。
帳簿上にミスがないかを確認し、正確な数値を割り出すことで、在庫のズレを確認することができます。
実際の在庫を確認
帳簿を正確に作成したところで、次に実際の在庫を確認していきましょう。
在庫の確認は棚卸し専用器を利用してシステムで管理する場合もありますが、手書きで確認していく店舗もあります。
手書きで確認していく場合にはミスが発生しやすいため、慎重に行わなければいけません。
まだ棚卸し専用器を導入していない場合は、作業効率化のためにぜひ導入することをおすすめします。
- 売上
- 返品
- 棚卸し入力
棚卸しの入力もできるハンディターミナルを使えば、売上や返品の作業もかんたんです。
年に数回は必ず棚卸しの作業が必要になるため、できるだけ作業は効率化して無駄を省きましょう。
帳簿上の在庫と実際の在庫に差異がないか確認
実際の在庫数を確認したら、帳簿上の在庫と照らし合わせて差異がないか確認します。
差異を確認することで、店舗の状況や問題を把握することが可能です。
- 金額の差異を確認
- 商品数の差異を確認
- 棚卸しのミスがないか確認
上記を確認し、帳簿上の利益との差異を割り出して利益を確定します。
差異がある場合は棚卸しミスの可能性もあるので、慎重に作業を進めていきましょう。
アパレル業界の棚卸しで差異が発生した時の対処法
もし棚卸しで差異が発生した場合、非常に困るのはよくわかります。
しかし、差異の問題を放置していては、無駄な損失を増やしていく一方なので対処を施しましょう。
ここでは棚卸しで差異が発生した時の対処法について解説していくので、ぜひお役に立ててください。
- 差異が発生した原因を理解する
- 原因に合わせた対応をする
- システムの導入で差異を減らす
差異が発生した原因を理解する
棚卸しで差異が発生した時、最初にやることは原因を追求することです。
差異の原因を追求することで、今後にやるべきことが明確になってきます。
- 紛失があったか?
- 万引きがあったか?
- レジのミスがあったか?
もちろん、棚卸しの段階で数え間違いがある場合もあるので、慎重に作業を進めてください。
差異の原因がわからないままでは今後も同じように損失額を増やしていくことになり、店舗の経営状況は悪くなってしまいます。
大変だとは思いますが、非常に重要な作業ですので必ず原因を明確にしましょう。
原因に合わせた対応をする
棚卸しで差異が発生した原因を理解できたら、問題に合わせた対応をします。
原因を理解しただけでは意味がありませんので、対応までセットで作業することが大切です。
- 紛失:陳列や在庫の整理
- 万引き:セキュリティの強化
- レジのミス:オペレーションの改善
例えば上記のとおりですが、店舗によって問題は様々ですので臨機応変に対応しましょう。
問題に合わせた対応ができれば今後の損失額を減らすことができ、利益の向上に繋げることができます。
棚卸しでは数を数えることが最終目的ではなく、利益の向上まで考えて作業を進めていくと効果的です。
システムの導入で差異を減らす
棚卸しで差異が頻繁に発生する場合、システムの導入を検討してみてください。
やはり人の手がかかることにミスはつきものであり、ゼロにすることは難しいからです。
システムを導入すれば在庫管理を適切に行うことができ、日々の作業の負担を軽減することもできます。
- 商品管理
- 販売管理
- 在庫管理
上記を一括で管理することにより、棚卸しでの差異を減らすことが可能です。
もちろん、システムの導入には月額料金がかかるため、不安があることもわかります。
しかし、このまま損失額を増やしていくよりも、少しシステムに投資をして利益の向上に力を入れたほうが効率的です。
なかなか棚卸しで差異がなくならないとお困りのアパレル関係者は、システムを導入してみることも検討してみましょう。
まとめ:アパレル業界は棚卸しでクリーンな店舗作りを
アパレル業界の棚卸しについて解説しました。
以下のとおり、アパレルの店舗において棚卸しは非常に重要な役割を担っています。
- 在庫管理の徹底
- 正確な利益の確認
- 効果的な経営戦略を立てることが可能
棚卸しの重要度を理解して作業することで、より効果を発揮し、利益の向上に繋げることが可能です。
ぜひこの記事の内容を参考にしていただき、クリーンな店舗作りをしていただけたらと思います。