あらゆる業界で注目されているD2C(DtoC)。
アパレル業界のD2Cについても、以下のような疑問や関心をもっている人が多いでしょう。
- そもそもD2Cとは何なのか
- どんな成功事例があるのか
- 成功するためには何が必要なのか
この記事では、上の3つの内容を中心にアパレル業界のD2Cについてまとめます。
「概要・事例・必要な要素」について知りたい人には、特に参考にしていただけるでしょう。
目次
【概要】D2C(DtoC)とは?
D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、「メーカーが直接消費者に販売する」形態のこと。
D2Cの成功事例は、大きく2つに分かれます。
哲学系 | そのブランドの「哲学」に共感して、消費者が集まるもの |
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ビジネスモデル系 | 新しいモデルの「利便性や経済性」に、消費者が集まるもの |
哲学系の代表は『foufou』、ビジネスモデル系の代表は『FABRIC TOKYO』です。
また『COHINA』や『overE』など、上記の中間といえるものもあります。(「小柄女性」などターゲットを絞りつつも、創業者自身がその悩みから出発しており「哲学」でもあるため)
アパレルのD2Cは、こうして「2タイプ」に分けて考えるとイメージが理解しやすくなるでしょう。
【レディース】国内の人気D2Cブランド一覧
国内のレディースD2Cブランドの成功事例では、以下のようなものがあります。
foufou | 「健康的な消費のために」がコンセプトのブランド |
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COHINA | 小柄な女性のためのブランド |
overE | 胸が大きな女性のためのブランド |
SOÉJU | 「個人に最適化」したファッションを提供するブランド |
それぞれ事例を紹介していきます。
foufou
foufouは「健康的な消費のために」をコンセプトとするアパレルブランドです。(メンズのアイテムもありますが、ここではメインであるレディースの枠でご紹介します)
D2Cの鍵である「価値観」の強いブランド
foufouがどんなブランドかを「わかりやすく」表現することは、難しいものです。その難しさは、創業者のマール・コウサカさんの以下のnoteを見てもわかります。
日本経済新聞など、アパレル以外の分野でも多数のメディアに取り上げられたものの、
(前略)DtoCの外枠だけの話が中心になり「それ全然本質じゃねえな」と思うことが多かった(後略)
と書いています。
実際、foufouは自らを「ニューウェーブなファストファッション」と位置づけ、以下のコンセプトを掲げています。
- 健康的な消費のために
- 適度にお洒落で、
- 適度に使い勝手のよく、
- 適度な価格の服に
- 文脈を持たせ、
- 提供する人達の暮らしや消費を変える
参考次世代ブランド「フーフー」の「最高じゃなくても最適な服」|WWD
「健康的な消費のために」といった文言に「それはNPOや消費者団体が提唱する内容では?」と思うかもしれません。コンセプトから「ファストファッション」の要素を取り除けば、「ニューウェーブ」な要素は以下の部分になるわけです。
- 健康的な消費のために
- 文脈を持たせ、
- 提供する人達の暮らしや消費を変える
これだけ抜き出すと、抽象的で「ポエム」のようだと感じる人もいるでしょう。
芸術が関わるビジネスは「ポエム」も重要である
何かと否定されがちなポエムですが、芸術に関わるビジネスではそれも重要なものです。
たとえば、ドラマや漫画などの作品の多くは「セリフが良かった」「心に残るシーンがあった」などの「ポエム」な部分への共感を理由に大ヒットしています。『鬼滅の刃』は「この人が今度生まれてくるときは、鬼になんかなりませんように」と、敵を殺めるときにも同情する点に特徴があります。
言語化・数値化しにくい「精神的なものを扱う」ことも、アパレルD2Cのようなビジネスには必要なのです。
DtoC販売サイト『teshioni』で販売
foufouのアイテムは、主に『teshioni』(テシオニ)で販売されています。
teshioniは『nutte』(ヌッテ)で製作された商品を販売するECサイト。nutteは1,500人の職人が登録する縫製代行のプラットフォームで、簡単にいうとteshioniで販売されている商品は、nutteの職人さん達による手作りということです。
上記のように具体的なD2Cの要素はいくつも挙げられますが、foufouがなぜD2Cブランドかを考えると、やはり本質的には「哲学に惹かれた人が集まる」という点にあるでしょう。
COHINA
出典:COHINA
COHINA(コヒナ)は「小柄な女性向けのアパレルブランド」。
身長150cm前後の女性向けのアイテムを専門に取り扱っており、ベーシックからカジュアルまで、幅広いテイストで多彩なアイテムを提供しています。
Webでのコーディネート発信・コミュニケーションを積極的に取る
COHINAは、公式サイトやSNSで小柄な女性向けのコーディネートのアイディアを積極的に発信。
この発信により、「小柄な女性向けのブランド」の魅力・美しさを効果的に、消費者へダイレクトに伝えることに成功しました。
自らも身長140cm台のディレクター・ayako cohinaさんやスタッフのゆなゆなさんなど「中の人」も積極的にInstagramで情報を発信しており、ファンの方々とのコミュニケーションを密にとられています。
このようなD2C施策により、COHINAは「小柄女性向け」ブランドの分野で、パイオニア的な存在となりました。
COHINAの成功パターンは、次に紹介するoverEとも重なります。
overE
出典:overE
overE(オーバーイー)は「胸が大きな女性のためのアパレルブランド」です。
胸が大きい女性は「サイズの合う服がない」「胸が強調され過ぎてしまう」「服によっては太って見える」など、ファッションに関して多くの悩みを抱えています。そのような悩みを解決するために生まれたブランドがoverEです。
クラウドファンディングからスタート
出典:CAMPFIRE
overEはまず、2016年のクラウドファンディングからスタートしました。
CAMPFIREで30万円を目標としてスタートし、その2倍近い586,000円を集めました。この時点で最初の商品『スリムシャツ』はすでに完成しており、そのテストマーケティングを兼ねた試みです。
ユーザーの声とともに商品開発を進める
その後、2017年秋にはユーザーの声を集めて作った「理想のワンピース」を発売。初期の開発段階からこのように「ユーザーと一緒に」歴史を歩んできました。
「胸が大きい女性のための服」を作る過程では、必然的に「ユーザーの声」を多く取り上げることになります。また、それだけでなく創業者の和田真由子さんも大学時代にいじめに遭い不登校になったなどの経験をもたれています。
こうした背景もあり、胸の大きさにコンプレックスをもつ女性たちが「ユーザー」ではなく「同志」のような距離感をもっている、ということもD2Cブランドとしての特徴といえます。
参考"胸を張って"生きられる服を 共感を生む「overE」|繊研新聞
SOÉJU(ソージュ)
出典:SOÉJU
SOÉJUは「着回しが楽しくなる上質なベーシック服を提供する」アパレルブランド。
もともとSOÉJUはSOÉJU personalという「パーソナルスタイリングサービス」をメインの事業にしていました。以前は「Let me know」というサービス名でしたが、それが「SOÉJU personal」になり、同時に「SOÉJU」という独自のアパレルブランドも誕生したという流れです。
パーソナルスタイリングから出発しているため、ユーザーとの関係が深い
パーソナルスタイリングは「対面でスタイリストがお客様にファッションのアドバイスをする」サービス。「その人個人に合わせた提案を直接行う」というサービスの業態は、もともとD2Cのコンセプトと親和性が高いのです。
たとえば、SOÉJU personalの店舗では、プロスタイリストのアドバイスのもと、あらゆるアイテムを試着できます。SOÉJU以外のスタイリストおすすめのアイテムも扱っていますが、メインとなるのはSOÉJUのアイテムです。
そのため、SOÉJUのアイテムは「SOÉJU personal」のサービスを通して、顧客との接点を多くもっているのです。
哲学は「ベーシックアイテムこそ上質にする」こと
D2Cブランドは「このブランドは代えが利かない」と消費者に感じさせるような哲学をもっていることが多いものです。
SOÉJUの哲学は「ベーシックアイテムこそ上質にこだわる」こと。ベーシックアイテムはしばしば「消耗品」として扱われ、手を抜かれることが多いものですが、SOÉJUは「すべてのスタイリングのベースになるアイテム」であるからこそ、上質にこだわるべきと考えます。
そのような価値観に共鳴するユーザーは多く、スタイリングサービスの人気とあわせ、SOÉJUがD2Cで成功している理由といえます。
【メンズ】国内の人気D2Cブランド一覧
国内のメンズ部門で、人気のD2Cブランドを一覧にすると、下のとおりです。
FABRIC TOKYO | オーダースーツブランド。店舗では採寸・生地選定だけを行いWebで販売 |
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Factelier | 「語れるもので日々を豊かに」がコンセプト。工場直販で高品質&コスパを両立 |
ALL YOURS | 「着ていることすら忘れてしまう」服を目指す |
10YC | 「10年着続けたいと思える服」がコンセプト。修理・染め直しなどで消費者と密な関係を持ち続ける |
FABRIC TOKYO(パブリックトウキョウ)
出典:FABRIC TOKYO
FABRIC TOKYOは、オーダーメイドスーツを扱うアパレルブランドです。
店舗では採寸や生地選びのみを行い、注文はWebから行います。特徴は、一度採寸をすれば、そのデータを使ってネットで簡単にオーダーメイドスーツを購入できるという点。
敷居の高いオーダーメイドスーツを身近にしたことが、同社が注目されている理由です。
「小さな実店舗」で固定費をカット
FABRIC TOKYOのビジネスモデルでは、店舗にほとんど商品を置く必要がありません。(あるのは生地サンプル程度)そのため、実店舗を小さくすることで賃料や人件費などの固定費を削減し、高品質なオーダースーツを手頃な価格で提供できています。
そして、採寸を行った後は「Web経由で直接消費者に商品を届ける」形式であるため、必然的にD2Cになります。
他の価値観などでつながるブランドと違い「ビジネスモデル自体でつながるD2Cブランド」といえるでしょう。
Factelier(ファクトリエ)
出典:FACTELIER
ファクトリエは「語れるもので日々を豊かに」をコンセプトとするアパレルブランドです。
- 職人を大切にする
- 大量生産をしない
- 工場直販システム
以上のような特徴をもっています。
「工場直販」で高品質でもリーズナブルな価格を実現
ファクトリエが行うD2Cの「ビジネスモデル」では、上の図のように商社や卸・ショップを省いています。
その分の中間コストが減るため、職人の手作りという高品質な服でも、リーズナブルな価格で提供できるということです。
「職人を大切にする」精神を貫く
消費者も、日頃は労働者です。そのため、社会人になると労働者から搾取して低価格を実現する企業に違和感をもつことが多くなるでしょう。
ファッションに関しても、新興国での過酷な現場などの話を見聞きし「作り手も大事にするブランドを選びたい」と思う人が一定数います。そんな層に向けて、ファクトリエは「日本の職人さんを大切にする」ブランドを提供しています。
D2Cブランドの哲学は、たとえ一部の層であっても、そのファンに刺さる価値観が鍵なのです。
ALL YOURS(オールユアーズ)
出典:ALL YOURS
ALL YOURSは「着ていることすら、忘れてしまう」をコンセプトとしたアパレルブランドです。
ファッションには昔から「着飾って人に見せるもの」というイメージがありました。
しかし、ALL YOURSでは下のようなコンセプトを掲げています。
- 着飾るためのものではない
- 主役として映えるためのものではない
- 「他の誰か」になる服でもない
以上のような「従来の服」ではなく、以下のような服です。
- 毎日、着たくなる服
- 毎日、着ている人を助ける服
- 自分らしくいられる服
たとえば、スティーブ・ジョブズが毎日黒のタートルネックを着ていたことは有名ですが、この発想はALL YOURSに近いものといえます。ジョブズの服のように「自分の皮膚のように一体化して馴染むブランド」がALL YOURSのコンセプトといえるでしょう。
「生き方」に通じるファッション論でユーザーの人生に働きかける
ジョブズの服の選び方は、彼の人生の一部でした。同じように、ALL YOURSが提唱するコンセプトは、ただのファッション論でなく「生き方」にも通じる部分があります。
- 自分をよく見せるために服を着るのをやめよう
- 「他の誰かになりたがる」のもやめよう
ということを提唱しているわけです。
これらのコンセプトは、消費者の欲望をかき立てる大手ブランドのCM戦略の真逆を行くもの。消費者にダイレクトに働きかけることで初めて成立する戦略です。
「売るための戦略としてD2Cを選んだ」のではなく、D2Cがブランドコンセプトの一部として不可欠なものだったともいえるでしょう。
10YC
出典:10YC
10YCは「10年着続けたいと思える服」をつくるアパレルブランドです。
具体的には、品質にこだわるだけでなく、以下のようなサービスを提供しています。
①:修理サービス | TSUGITASHI |
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②:染め替えサービス | IROHEN |
③:下取りサービス | THANKYOU BACK |
①の修理サービスは「10年着続けてもらうために特に重要」なものです。
ただ、修理は出す方も手間であるため、
- 「修理に出したい」と思えるような服を最初につくる
- 「修理をお願いしたい」と思えるような店舗・仕上がりである
ということが重要といえます。
最初にいい服を作るだけでなく「10YCに修理をお願いしたい」と思われるようなコミュニケーションを、お客様と取り続ける必要があります。
②の染め替えサービスは、「色が褪せた」「染みがついてしまった」「色に飽きた」などのケースで、染め替えを依頼できるものです。これも修理と同様、日頃からのお客様とのコミュニケーションが必要となります。
③の「下取りサービス」は「体型が変わって着れなくなった」「飽きて着なくなった」という服を、眠らせたり捨てたりするのではなく、10YCに持ってきてもらい、下取りするというサービスです。
どれだけいい服でも、体型が変わって着れなくなることは当然ありますし、飽きることもあります。しかし、そのようなときに「下取りをしてでも服を再び生きたものにする」ことで「10年着られる服」というコンセプトを体現できるわけです。
これらのサービスはすべて「10YCの世界観を理解してくれるユーザーの存在」を前提としています。そのため、10YCは「消費者との関係を重視する」という点でD2C色が強いブランドといえます。
【海外】世界の人気D2Cブランド一覧
海外でも、D2Cアパレルブランドの成功事例は多くあります。
その中でも代表的なものは、以下の3例です。
Warby Parker | 眼鏡の購入をすべてオンラインで完結させた |
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Bonobos | EC特化メンズアパレルの先駆け。カスタマーサービスを「ninja」と名付け徹底重視 |
Everlane | 原料費や輸送費など「全てのコスト」をオープンにし、信頼を掴む |
それぞれの事例の概要を紹介していきます。
Warby Parker
出典:Warby Parker
Warby Parker(ワービー・パーカー)は「完全にオンラインで購入できるメガネブランド」。
試着は自宅、視力検査もオンラインで完結します。ウェブカメラを用いたバーチャル試着などもあり、「メガネのオンライン販売」で世界をリードするブランドです。
試着・視力検査で「小売業者」に頼る必要がなくなった
これまでのメガネ販売では、店舗での試着や視力検査が当たり前。そして、その店舗は「小売業者」が手掛けていました。(代表例は『メガネスーパー』です)
小売業者がいると「消費者とダイレクトで関われない」わけですが、Warby Parkerはその構造を変えました。小売業者を挟まずにオンラインでユーザーとつながることで、コスト削減のみならず、「ユーザーのデータや声をダイレクトに集める」ことにも成功しています。
BONOBOS
出典:BONOBOS
Bonobos(ボノボス)は「EC特化のメンズアパレルブランド」です。
2007年に「メンズパンツ専門」でスタートし、当時はまだ珍しかったソーシャルメディアをフル活用して販路を広げました。「靴のネット販売」で成功したZappos(ザッポス)に次いで、EC特化アパレル企業のパイオニアと評価されています。
カスタマーサービスをninjaと名付け、ユーザー体験を重視
Bonobosでは、自社のカスタマサービスをninja(ニンジャ)と呼び「最高の顧客体験」を届けることを徹底しています。
これは、先行して「靴のネット販売」で成功していたアパレル企業Zappos(ザッポス)に倣ったもの。Zapposはカスタマーサービスに非常に力を入れており、どれだけ時間がかかっても、とにかく顧客に「ワオ!」(感動)をもたらすことを徹底しました。
消費者とダイレクトに「つながる」ことを、物理的な意味だけでなく、精神的な意味でも実現していたということです。オンラインで直接販売するという「形態」だけでなく「精神的なつながり」も重視し続けてきた点が、BonobosがD2Cブランドの最たる成功例のひとつとされる所以でしょう。
Everlane(エバーレーン)
出典:Everlane
Everlaneは「あらゆる情報を透明化しているアパレルブランド」です。
原料費や輸送費など、あらゆる「本当のコスト」を公式サイトなどでオープンにしているのです。
出典:EVERLANE
「このようなコストでこの服は生まれた」「だから、これが適正価格である」という説明を「透明に」しているわけです。
利益を出そうとする企業からすれば「ご法度」ともいえる姿勢でしょう。しかし、ユーザーからすればそのように本当のことを教えてくれるなら、納得・信頼して商品を買いやすいということでもあります。
事実、Everlaneの姿勢に共鳴したユーザーは、同ブランドを信頼してアイテムを購入しています。
「正しい情報の公開」でユーザーと強くつながった
「情報の発信でユーザーとつながる」というと、現代では「SNSでアピール」などを考えるでしょう。しかし、Everlaneが重視したのは「正しい情報」です。
- 「この服はこんなに魅力的です」とアピールするのではない
- 「面白いSNSアカウント」を運営するのではない
- 「ただ正確な情報」を公開した
それがEverlaneの「ユーザーとつながった方法」でした。
もちろん、この方法にはデメリットもあります。
たとえば、創業者や役員など、トップが高い報酬を得られないということです。また、従業員の給与も平均年収以上には上げにくくなるでしょう。そのようにトップが高い報酬を得られないという条件のなかで、ユニクロの柳井会長やZOZO創業者の前澤元社長のような優秀なトップが育つだろうかという疑問もあります。
ただ「本当のことを言いたい」「本当のことを言ってほしい」という感情は、どの国のどんな業界でも、多くの人が抱えているはずです。「それを実際にやったらこうなる」ということを、現在進行系で実験していることに、Everlaneの存在意義と独自性があります。
【事業】D2Cビジネスの成功に必要な4つの条件
D2Cの事業を成功させるのに必要な条件は主に4つです。ここでは、その4つの条件を説明します。
ブランドの世界観をつくり上げる
foufouが典型的な例ですが、D2Cブランドでは「世界観」が重要です。
- 安さや機能だけで選ぶなら、ユニクロなどで買う
- そうでなくこのブランドで買うのは「この哲学に共鳴したから」
という、消費者の「心を動かす」要素が必要になります。
ともすればポエムになりがちなこうした考えを「いかに現実の世界で体現するか」という、微妙な心の機微の舵取りが必要になります。
そもそも「D2Cが最善」なビジネスモデルを考える
「哲学」ではなくD2Cの「ビジネスモデル」自体を利用して成功した事例も多くあります。
FABRIC TOKYOの成功がその代表例です。
- オーダーメイドで絶対に必要なのは「採寸」だけ
- 店舗では採寸だけすればいい
というビジネスモデルで「必然的にD2C」になったわけです。
このような合理性を求めた結果のD2Cという形を考えることも、もう1つの路線です。
ユーザーとのコミュニケーションを密にとる
「哲学」タイプのD2Cブランドでは、特にユーザーとのコミュニケーションが重要となります。
また、完全な哲学タイプでなくとも、たとえばBonobosやZapposのようなEC特化系は、親身なカスタマーサービスが重要となります。Zapposはそれで成功した企業であり、Bonobosも「ninja」という、カスタマーサービスのネーミングまで生み出しているほどです。
分析や改善など「従来どおりの基本」を徹底する
当然ですが「世界観」や「新しいビジネスモデル」だけで成功するほど、D2Cは甘くありません。
D2Cに限らず、新しいビジネスの発想も、実践して成功を続けるには、結局従来どおりの基本が重要になるものです。つまり「D2C」という言葉に飛びつけば成功するような「魔法の杖」は存在しません。
「あらゆる角度からデータを集め、検証し、改善を繰り返す」という基本を、D2Cでも徹底する必要があります。
【まとめ】D2Cの「ベース」を支えるためにはデータドリブンが不可欠
まとめると、D2Cの成功には①哲学、②新たなビジネスモデルのどちらか(あるいは両方)が必要となります。
しかし、どちらにしてもあくまで「D2Cの半分程度」です。残り半分は、今までのビジネスと変わらない「基本」が重要となります。
その基本の一要素として、データ検証を緻密に行い、改善を繰り返す「データドリブン」が挙げられます。そうしたデータドリブンを実践するためには、高機能なクラウドシステムが不可欠です。また、数多くのクラウドシステムの中でもアパレルで成功するためには、やはりアパレル特化型のシステムが、最も有効といえます。
当社が提供している『アパレル管理自動くん』は、そのようなアパレル特化型システムで、多くのブランド様・店舗様・企業様からご支持をいただいているものです。
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