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レシートレス(電子レシート)とは?導入のメリット・デメリットを解説

2018/8/3

スマホを持つ女性

キャッシュレスと合わせて政府が推進するレシートレス。このレシートレスに関心がある人が知りたいのは、主に以下のような点でしょう。

この記事では上記の内容に加え、アプリ「スマートレシート」の詳細や、各地域での実験事例を合わせて解説します。これらの内容を読むことで、レシートレスや電子レシートの全体像を、スムーズに理解できるでしょう。

レシートレス(電子レシート)とは

レジの女性

レシートレスとは電子レシートを導入すること、あるいは導入した状態です。そのため、レシートレスの意味を説明するには「電子レシートの意味」を説明する必要があります。

電子レシートの意味と概要をまとめると、下記のとおりです。

以下、それぞれ詳しく説明していきます。

紙のレシートを電子化したもの

画面出典:11月オープン新生「渋谷パルコ」 そのカオスな全容とは? | 日経クロストレンド

電子レシートは、紙のレシートを電子化したものです。実際に電子化された画面は上のようなものです。

買い物の情報をアプリに送る

電子化する仕組みは簡単で、レジのデータをアプリに送るということです。つまり、電子レシートを使うには「アプリが必須」となります。

この点はキャッシュレス決済と同じく、国が進める政策であるものの「国民側にもスマホが必要」という状況です。新技術を国内で広める以上、国民の側にも新しい機械に適応してもらう必要がある、ということです。

現在は「スマートレシート」一択(東芝テック)

スマートレシート出典:スマートレシート

2020年時点で、電子レシートのサービスを日本で提供しているのは東芝テックのみです。同社が提供するスマートレシート(略称:スマレシ)というサービスで、経済産業省・内閣府などと連携して事業を進めています。

参考東芝テックが進める電子レシート「スマレシ」 | 内閣府・国家戦略特区

現時点では電子レシートはスマートレシート一択であり、レシートレスを実現したい場合は、このサービスの導入が必要です。アプリの詳細はこちらの段落でまとめています。

電子レシートの仕組み(店舗側/利用者側/よくある疑問)

レジ

電子レシートの仕組みは、店舗側・利用者側でそれぞれ知りたい部分が異なります。また、双方からの「よくある疑問」も共通します。ここでは、それらの内容を下記の段落で、それぞれ解説していきます。

以下、それぞれの詳しい説明です。

電子レシートの仕組み・店舗側

電子レシートの仕組みを、店舗側でまとめると下のようになります。

それぞれの手順を詳しく解説していきます。

①:顧客のアプリのバーコードを読み取る

まず、レジでのお勘定の最初に、顧客のアプリのバーコードを読み取ります。

バーコード読み取り

顧客が先にアプリを開き、バーコードの画面を用意していることが必要です(そうでないと時間がかかります)。

そのため、レジの並ぶ位置などにPOPで「スマートレシートをご利用の方は、先にバーコード画面をご用意ください」などの注意書きをするといいでしょう。

②:後はいつも通りPOSレジを使う

その後はいつものようにPOSレジで決済をします。会計前に「従業員が自分のバーコードを読み取る」ような作業が、一つ追加されただけだと考えるとわかりやすいでしょう。

(バーコードは顧客が提示したときだけ読み取ればいいため「忘れていてできなかった」ということもありません)

③:そのデータを「スマートレシート」のサーバーに送る

スマートレシートの仕組み

読み取ったデータは「スマートレシート」のサーバーに自動送信されます。上の図のとおりです。

スマートレシートサーバーに直接送らず、自社の本部に先に送る方法もあります。上の図の左下「スマートレシート中継サーバ」と書かれているものです。

どちらにしても、最終的にはスマートレシートのサーバーで処理されます。このサーバーは東芝テックが管理しています。

④:スマートレシートが顧客のスマホにデータを送る

スマートレシートセンターに届いた情報は、顧客のスマホに届けられます。情報が届くタイミングは「即時」です。ただし、店舗のポイントカードなどと連携を行う場合は、初回のみ「翌日」となります。

電子レシートの仕組み・利用者側

利用者(お客さんの側)は、以下の手順で電子レシートを使えます。

それぞれ詳しく説明します。

①:アプリをダウンロードする

アプリ出典:スマートレシート | Google Play

まず、上のGoogle Playのページや、Apple Storeのページで、スマートレシートのアプリをダウンロードします。

②:アプリ画面を支払い時に見せる

画面出典:東芝テック、電子レシート「スマートレシート」の利用料を無料に | ダイヤモンド・チェーンストア

上の画像の「バーコード画面」をレジで見せます。

③:後はいつも通り(やることなし)

その他はいつも通りで、やることはありません。店舗によっては会員カード(会員アプリ含む)を同時に見せる必要があります。

④:アプリに買い物データが反映されている

支払いが終わったら、アプリの中で買い物のデータが反映されています。下のような画面です。

実際のレシート出典:みやぎ生協、初の電子レシート「スマートレシート」登録者が1万件突破 | 日本食糧新聞

反映のタイミングはほぼ即時です。公式アプリのページでも「すぐにレシートが届きます」と書かれています。

仕組みでよくある疑問と答え

電子レシートの仕組みについて、よくある疑問は以下のものです。

それぞれの答えをまとめていきます。

店舗の会員登録は必要?(利用者側)

サンプラザ出典:サンプラザカードの提示で、スマホで電子レシートを管理できます! | サンプラザ

電子レシートの仕組みとしては、店舗ごとの会員登録はなしでも利用できます。しかし、店舗ごとのルールとして「会員登録が必須」ということも多くあります。

たとえば、上の「スーパーマーケット・サンプラザ」の場合、サンプラザカードが必要です。初回のみ一緒に提示し、連携処理をする必要があります。

こうした条件はありますが、普段買い物する店舗なら、会員カードを作っておく方がお得なものです。そのため、この手間がデメリットになることはないでしょう。

会員カード・ポイントカードと連携できる?(店舗側)

連携

店舗側としては、会員カードやポイントカードとの連携を当然したいでしょう。これは上の画像のとおり問題なく可能です。

会員カードと連携させる場合、初回のみ反映に時間がかかります。通常はデータが即時アプリで反映されますが、初回のみ翌日以降となります。

何があれば導入できる?(店舗側)

導入にはPOSレジが必要です。スマートレシート・公式サイトの説明図でも、下の画像のように「店舗にPOSレジがあること」が条件となっています。

POSレジ出典:電子レシートサービス スマートレシート | 東芝テック

POSレジが行うのは、下の3つの作業です。

  • バーコードの読み取り
  • 連携カードの読み取り(ポイントカードなど)
  • 電子レシートの送信

もともとPOSレジはこれらの読み取り・送信の作業をしている機械です。その作業の延長として、POSレジがあれば電子レシートを導入できます。

レシートレスのメリット・デメリット(店舗側/利用者側)

レジ

レシートレスには店舗側・利用者側で、それぞれのメリットとデメリットがあります。

上記のように、それぞれの段落に分けて説明していきます。

メリット

メリットは店舗側と顧客側で、下のようになります。

店舗側印刷コストと人件費の削減、レジ混雑解消
顧客側無駄な紙をなくせる、記録が残る、待たされない

それぞれ詳しく説明していきます。

店舗側:印刷コストと人件費の削減、レジ混雑解消

店舗側には、下のようなメリットがあります。

  • 印刷コスト削減
  • 人件費削減
  • レジ混雑解消

特に大きいのは印刷コスト・人件費の削減です。印刷コストについては、北雄ラッキーが1店舗のみで年間20万円を削減できる見込み、という試算を出しています。

参考北雄ラッキー、電子レシート導入 年間20万円削減 | 日本経済新聞

同社の合計27店舗では、紙のレシートにかかる費用が年間約800万円に上ります。この削減の手段として、電子レシートが期待されています。

顧客側:無駄な紙をなくせる、記録が残る、待たされない

顧客側のメリットは下のとおりです。

  • 無駄な紙をなくせる
  • 記録を自動的に残せる
  • レジで待たされない

東芝テックの調査によれば、69.2%のユーザーは紙のレシートに不満を抱えており、最も多い不満が「レシートで財布が膨らむこと」です。電子レシートはその不満を解消できます。

記録を残せる期間は400日となっています。そのため、1年程度でデータを別の場所にまとめる必要がありますが、1年あれば期間としては十分でしょう。

レジでの待ち時間については、店舗や通信の状況によっては、逆に時間がかかることもあります(この点はクレジットカードでの支払いと同じです)。

そのため、すぐに待ち時間が改善されるわけではありません。しかし、長期的には電子レシートの方が待ち時間が短くなるのは明らかです。

デメリット

レシートレスのデメリットは、店舗側・顧客側でそれぞれ下のようになります。

店舗側対応レジの導入、初期の操作訓練が必要
顧客側個人情報漏洩のリスクがある、スマホが必要

それぞれ詳しく説明していきます。

店舗側:対応レジの導入、初期の操作訓練が必要

店舗側では、対応するPOSレジを導入する必要があります。また、初期はスタッフに対する操作訓練も必要となります。

これまでPOSレジを導入していた店舗であれば、通常業務の延長で導入できます。しかし、POSでない従来のレジスターを導入していた場合、POSレジの操作訓練も必要です。

顧客側:個人情報漏洩のリスクがある、スマホが必要

顧客側には、個人情報漏洩のリスクがわずかにあります。ただ、これはクレジットカードやキャッシュレス決済も同じであるため、レシートレスだけの問題ではないといえます。

また、利用の条件としてスマホが必要です。スマホがない人にとってはこの点がデメリットですが、政府がこういった動きを国策として進めている以上「そろそろスマホを持つ方がいい」ともいえるでしょう。

レシートレス実験事例3選(町田市・沖縄県・みやぎ生協)

レジ

レシートレスの実験は、すでに2014年から始まっています。ここでは、下の3つの地域・自治体で行われた実験の事例を紹介します。

町田市経産省とNEDOが27店舗2700名で実験
沖縄県2018年に47店舗で6カ月間、3万人で実験
宮城県2014年にみやぎ生協組合の店舗で、博報堂などが実験

町田市:経産省とNEDOが27店舗2700名で実験

町田市の事例出典:電子レシート実証実験、東芝テックやミニストップ | 日本経済新聞

東京都町田市では、以下の内容で実験が行われました。

主催経済産業省、NEDO
時期2018年2月13日~2月28日
店舗数27店舗
実験人数2,700名

参考東京・町田市で「電子レシート」の実証実験、複数社の27店舗でデータを連携 | デジタルクロス

この実験に参加したのは、以下の企業の町田市内の店舗です。

  • ミニストップ
  • 東急ハンズ
  • ココカラファイン
  • ウエルシア薬局
  • 銀座コージーコーナー
  • 三徳

この実験の後、経産省が参加した815名に対してアンケートを取りました。結果「今後も電子レシートを受け取りたいか?」という質問に対して、下のような回答割合となりました。

■質問:あなたは、今後も買物のレシートを「電子レシート」で受け取りたいと思いますか?
回答結果出典:電子レシートの標準仕様を検証する実験を行いました | 経産省

電子レシートだけで受け取りたい37.4%
できれば電子レシートで受け取りたい38.7%
電子レシートと紙のレシートの両方を受け取りたい9.7%
どちらでもない9.7%
できれば紙のレシートで受け取りたい2.5%
紙のレシートで受け取りたい1.4%
電子レシートも紙のレシートもいらない0.6%

上から3つの数値を合計すると、「電子レシートを受け取りたい」と答えた人が85.8%ということです。そして「電子レシートを受け取れるお店で買い物したいと思うか」という質問に対しては、下のような回答となりました。

回答結果出典:同上

ぜひ電子レシートを受け取れるお店で買物したい21.2%
せっかくなら電子レシートを受け取れるお店で買物したい46.1%
電子レシートでも紙のレシートでも気にならない26.1%
電子レシートしか受け取れないお店では買物したくない1.8%
わからない4.9%

上から2段の数値を合計すると67.3%となります。電子レシートが受け取れるならその店舗で優先的に買物したいという人が、約7割いるということです。

最終的には、アクセスや価格の安さ、品物の良さなどで店舗を決めるでしょう。ただ、少なくとも「電子レシートを導入してマイナスになることはない」といえます。

参考電子レシート実証実験の結果概要 | 経済産業省

沖縄県:2018年に47店舗で6カ月間、3万人で実験

沖縄の事例出典:東芝テック、沖縄で電子レシート実証 小売店と連携 | 日刊工業新聞

沖縄県では、下のような内容で実験が行われました。

主催東芝テック・コープおきなわなど
時期2018年9月12日~2019年3月11日(6カ月間)
店舗数47店舗
実験人数3万人(目標値)

下の図のように、沖縄県で大きなシェアを持つ生協・スーパー・ドラッグストア・飲食店などが連携して実験に取り組みました。

沖縄

企業名を文字で書き出すと下のとおりです。

コープおきなわ・ペットボックス・丸大・りうぼう・ゆうぼう・ビッグワン・ブルーシール・ヴァインドラッグ・ステーキハウス88

この実験では、先ほどの図に書かれているように、お得なクーポンなども発行しました。当初の予定は6カ月間でしたが、1カ月延長して合計7カ月実施されています。

この実験の結果は、内閣府のサイトでも報告されています。それによれば、電子レシートの利用客は、利用しない一般の顧客と比較して、下のようなデータが出たということです。

  • 毎月の購買金額が5,000円高い
  • 来店回数は2倍(多い)

これは「もともとよく来店するお客さんだったから、電子レシートにも興味を示した」という可能性もあるでしょう。そのため「電子レシートの導入によって、これだけ数字が増えた」とは限りません。

しかし、「元からの常連さん」が好んで電子レシートを使ったのであれば、電子レシートの導入は常連客にも待ち望まれているといえます。つまり、常連客に長く利用してもらうためにも、積極的に導入する方がいいわけです。

参考国内初、沖縄県全域での電子レシートを活用した販売促進連携 | 東芝テック

東北4県:14~15年、みやぎ生協・いわて生協など82店舗で導入

みやぎ生協出典:人と店とを情報でつなぐ「スマートレシート」| 日経BP

レシートレスの最初期の実験事例は、宮城県を中心とした東北4県のものです。以下の概要で実験が行われました。

主催コープ東北サンネット・東芝テック・博報堂
時期2014年1月22日~3月25日
店舗数当初・29店舗/2015年5月時点・82店舗
実験人数累計約1万人(2015年5月時点)

主にみやぎ生活協同組合の29店舗で実施された実験ですが、利用者の92%が継続を希望するなど好評でした。このため、翌年2015年5月時点で下記4社の計82店舗にも電子レシートが導入されています。

  • みやぎ生協
  • いわて生協
  • 生協共立社
  • コープふくしま

この実験での成功が、後の町田市や沖縄県での事例につながったといえるでしょう。

参考博報堂など、スマホx電子レシート実証実験スタート | マーケジン

電子レシートアプリ「スマートレシート」とは

レジ

電子レシートのアプリは、現在「スマートレシート」一択です。同アプリの概要をまとめると、下のようになります。

それぞれの内容を詳しく解説していきます。

東芝テック提供、対象店舗で使える無料アプリ

iOSアプリ出典:スマートレシート | Apple Store

スマートレシートを提供するのは東芝テックで、アプリの利用は無料です。アプリ内課金もありません(2020年7月時点)。

スマートレシートを使える店舗は、公式サイトの下のページで一覧になっています。

参考スマートレシートが使えるお店

家計簿アプリ「レシーピ!」と連携可能

レシーピ出典:レシーピ!

TSVデータとして出力、PC・エクセルでの管理が可能

スマートレシートのデータは、PC用に出力できます。公式サイトの説明は下のとおりです。

「その他」画面の「レシートデータ出力」より行えます。 指定のメールアドレス宛にTSV形式のファイルを送信します。
使い方について | スマートレシート

TSVファイルは、わかりやすく言うと「テキストファイル」です。テキストとの違いは「データがタブで区切られている」ことです。

8月1日歯ブラシ100円
8月2日おにぎり120円
8月3日焼きそば400円

たとえば上のデータをTSVにすると、下のようになります。

8月1日  歯ブラシ  100円
8月2日  おにぎり  120円
8月3日  焼きそば  400円

このデータをエクセルで読み込むと、先程の表のようになります。こうしたデータに出力できるので、パソコンでの編集も可能です。

まとめ:レシートレス時代にはPOSレジの導入が必須

レジ

レシートレスはキャッシュレスに次ぐ国策であり、今後確実に普及していきます。そして、レシートレスに適応するためにはPOSレジの導入が欠かせません。

POSレジのサービスは多く存在しますが、アパレルの店舗に導入するのであれば、アパレル業務に特化したPOSレジを選ぶのがベストです。そして、そのようにアパレル業務に特化したPOSレジが、弊社の提供する『アパレル管理自動くんPOSレジ』です。

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