Amazonで商品を販売していて、悩まされる問題の1つがカート落ち。なぜカート落ちが起きるのか、どうすれば起きないのかなどの点を知りたい、出品者の方も多いでしょう。
この記事では、これらの疑問に答えるため、Amazonでのカート落ちの原因と対策を解説します。「Amazonでできるだけ販売機会を逃したくない」という出品者の方には、きっと役立てていただけるでしょう。
目次
【概要】Amazonのカート落ちとは
Amazonのカート落ちとは、消費者が商品をカートに入れたまま、購入までたどりつかない現象のことです。他の通販サイトでは「カゴ落ち」とも呼ばれます。
上の図のとおり、カゴに入れた後の会員登録や決済でつまずき、購入完了まで至らないというものです。下の画像のように、カートに入れたまま放置されます。
販売者側では別の意味が2つある
販売者側では、下の意味で使われることもあります。
- 在庫切れ
- 「カート価格」から外される
「在庫切れ」は、サイのマークで有名な出版社・晶文社などが下のように使っています。
参考Amazonで在庫切れ(カート落ち)になっていた場合の他のオンライン書店の在庫等について|晶文社
カート価格とは、下の図の価格です。
送料も含め、新品で一番安い商品がカート価格として表示されます。「ここに掲載されていたのに外される」ということを、出品者の間で「カート落ち」と呼ぶこともあります。
参考カート落ち障害発生していませんか?|Amazonセラーフォーラム
【原因】Amazonで消費者が「カートに入れたまま」にする5つの理由
Amazonで消費者が商品を「カートに入れたまま」にする原因は、主に下の5つがあります。
それぞれの原因について、詳しく説明していきます。
①「お気に入り登録」のつもりで入れている
Amazonのカートは、普通のネットでいう「お気に入り登録」のつもりで使っているユーザーもいます。Amazonには「お気に入り登録」に該当する「ほしい物リスト」という機能があります。
ほしい物リストは、下の画像の右下の黄色でマークした部分に、追加するボタンがあります。
このボタンを使うと、下のように商品がリストに登録されます。
本来この機能を使えばいいのですが、知らないユーザー(あるいは面倒と感じるユーザー)は、カートを使うことがしばしばあります。
② 買ったつもりである(勘違いしている)
特に通販に不慣れなうちは「決済に至るまで何度か画面があることを知らない」ということもあります。あるいは、知っていても「うっかりミスした」ということもあります。
この場合、消費者の当人は買ったつもりでも、販売者から見たら「カート落ち」となります。
③ 欲しいが、その時点ではお金がなかった
このパターンは、①の「ほしいものリスト」に似ていますが、少し異なります。
- 非常に欲しくて、決済まで進んだ
- しかし、お金に余裕がないため、注文確定を迷った
というパターンです。特に高額商品では、このパターンが多く見られます。
たとえば、上の画像のダウンジャケットは、最大で47万円という高級品です。このレベルになると、決済の直前で迷って「一晩考えよう」「次の給料日が来たら買おう」と考えるユーザーも多いでしょう。
④ クレジットカードなどの決済に失敗した
決済で失敗した場合も、カートから先には進めません。下の画面は失敗した画面ではありませんが、決済のクレジットカードを選ぶ画面です。
決済の失敗については、Amazonほど大量の選択肢が用意されていたら、販売者としてはそれ以上手のうちようがありません。打てる手があるとしたら、支払い方法に制限をかけている場合、それを解除するということです。
たとえば、代金引換は制限をかけている出品者が一定数存在します(下記参照)。
・一部のAmazonマーケットプレイスの出品者が販売する商品
(中略)
・支払い方法に制限を設けている商品
引用:代金引換を 利用できない商品|Amazon
このような場合、代引の制限を解除することで「代引なら買ってもらえる」というケースがあります。ただ、代引には一定のトラブルリスクもあります。
このため、カート落ちを減らすことと、どちらを重視するかという選択になります。
⑤ 最後の送料を見て購入を迷った
下の『JELLY』は、中古品が「1円より」となっています。Amazonで初めて古本を買う人だと、これを見て「1円で買えるのか」と思うでしょう。
しかし、経験者なら知っているとおり、これには送料がかかるのです。このJELLYの場合は301円追加され、302円となりました。
このように、カートに入れてから送料が「意外に高い」と感じ、購入を迷った場合も、カート落ちの原因になります。
【対策】Amazonで「カート入れっぱなし」をなくす方法
Amazonで自社の商品が「カートに入れっぱなし」にされないためにはどうすればいいか。まず対策を一覧にすると下のとおりです。
上記の①~⑤が、カート落ちのどの原因に対応しているか、一覧にすると下のとおりです。
(リンクは、先に説明した各原因の段落に跳ぶものです。重複するものは1つだけリンクしています)
対策 | どの原因への対策になるか |
---|---|
①商品ページを磨く | ①お気に入り登録のつもり、③お金がなかった、⑤送料を含めた総額で迷った |
②低価格商品をつくる | ③お金がなかった、④決済に失敗した、⑤送料を含めた総額で迷った |
③Amazonからの配送に対応 | ⑤送料を含めた総額で迷った |
④流通を見直し送料を下げる | ⑤送料を含めた総額で迷った |
⑤メルマガ・SNSなどの情報発信 | ①お気に入り登録のつもり、②買ったつもり、を中心にすべて |
以下、それぞれの対策について、詳しく説明していきます。
①:商品ページの文章や画像を改善し、魅力をさらにPRする
ページの文章や画像を改善し、今以上に商品を魅力的に見せます。これが、下記のカート落ちの原因への対策となります。
原因 | 対策になる理由 |
---|---|
お気に入り登録のつもり | 魅力的なら即決される |
欲しいが、その時点ではお金がなかった | より魅力的なら決断してもらえる |
最後の送料を見て購入を迷った | 上と同じく、魅力的なら決断してもらえる |
一番いいのは「商品自体を改善」することですが、それと合わせて「ページの改善」も重要です(会社組織でいうなら営業部を強化するイメージです)。
②:低価格のラインナップを新たにつくる
これは、下の3つの原因に有効です。
- 欲しいが、その時点ではお金がなかった
- クレジットカードなどの決済に失敗した
- 最後の送料を見て購入を迷った
それぞれ、なぜ有効なのか説明します。
【欲しいが、その時点ではお金がなかった】
これについては「別の品物になると、欲しいとは限らないのでは?」と思うかもしれません。しかし、個別の商品ではなく「そのブランドのアイテム」が欲しいだけということもあります。
極端な話「安物だけど本物のエルメスがあったら買いたい」ということです。「エルメスを持っているというステータス」を買いたいわけです。
そのような層を取り込むため、たとえば高価格帯の企業が、中価格帯のサービスや商品の開発に乗り出すというケースはしばしばあります。このような「中価格帯戦略」は、下の記事で詳しく解説しています。
【クレジットカードなどの決済に失敗した】
これは、たとえば「限度額が残り少ない」という場合、高額な商品では買えなくても、低額な商品なら買えることがあります。事前に安いラインナップも揃えていれば、限度額が足りなかった消費者が「じゃあ、こっちで買うか」という選択肢が増えます。
また、限度額の問題だけでなく、下のようなパターンもあります。
- 現金なら、5万円まですぐに買える
- カードなら、10万円まですぐに買える
このとき、5万円のラインナップがあったら「これを現金で買おう」と考える消費者も多いでしょう。クレジットカードのセキュリティ番号を忘れたなどの理由で使えなくても、こうした選択肢があれば、無事に購入できるわけです。
【最後の送料を見て購入を迷った】
送料については別途工夫できますが、本体の価格を下げることも、この対策につながります。本体が安ければ、「まあ、トータルで安いからいいか」と、送料が高くても消費者が購入しやすいためです。
③:Amazonからの配送に対応し送料を無料にする
Amazonから配送とは、Amazonの倉庫に自社の商品を預け、そこから配送してもらうものです。上の画像の「フルフィルメント by Amazon」というサービスで簡単に利用できます。
これを使うと、Amazonプライム会員であれば配送料が無料になります。このため「最後に送料を見て迷う」というカート落ちが減ります。
④:流通と梱包を見直し送料を下げる
「送料を見て迷う」という原因に対しては、純粋に送料を下げることも有効です。送料を下げる方法は、主に下記の2通りです。
- 流通サービスを見直す
- 梱包を見直す
自社で配達まで行うことは難しいため、大抵は運送会社を利用しているでしょう。その運送会社を変更する、利用プランを変えるなどの選択肢があります。
梱包については、自社内で改善しやすい部分です。「業者に梱包も依頼している」ということもあるでしょうが、その場合も梱包の内容やプランを見直します。
梱包については、コストを削減しすぎるとユーザーの満足度が落ちることもあるため、バランスが重要です。
こうした流通全般を管理することを「サプライチェーンマネジメント(SCM)といいます。SCMについては、下の記事で詳しく解説しています。
⑤:忘れられないよう、メルマガ・SNSなどで情報を発信する
カート落ちした消費者は、その時点では商品に興味を持っていても、やがて忘れてしまう可能性があります。そのため、忘れられないよう、メルマガやSNSなどで情報を発信することが有効です。
このアクションにより、特に下の2つの原因によるカート落ちへの対策を取れます。
- お気に入り登録のつもり
- 買ったつもりでいる
上記の2パターンは「お金がない」などの問題がなく「買おうと思えばいつでも買える」状態です。ただ、時間が経つと忘れてしまいやすい層でもあります。
(「買ったつもり」の方は、必需品であればすぐに買っていないことに気づくでしょうが、必需品でなければそのまま忘れることもあります)
この他、残りの3つの原因(下記)に対しても、忘れられない努力は有効です。
- お金がなかった
- 決済に失敗した
- 送料で迷った
上記の3パターンも、時間が経つほどそのまま忘れてしまうためです。ただ、この3パターンは覚えていても買わない・買えないという可能性があります。
このため、ただ忘れないだけでなく「買いたくなる」ように、ページの文章やデザインを磨くことが重要です。
【おすすめ】自社通販サイトへの「Amazon Pay」の導入
出典:amazon pay
Amazonでなく自社のECサイトなどを利用していて、カゴ落ちに悩んでいる場合「Amazon Pay」の導入もおすすめです。ここでは「Amazon Payとは何か」「なぜカゴ落ち防止につながるのか」を解説します。
Amazon Payとは何か
Amazon Payとは、Amazon以外のサイトでも、Amazonのアカウントでログインと決済ができるというサービスです。
Amazonログイン&ペイメントは、Amazon以外のECサイトでもAmazonアカウントでログイン・決済でき、簡単で安心な買い物を実現するサービスだ。
引用:アマゾンが語る「Amazonログイン&ペイメント」導入1000社突破の今|ECのミカタ
以前は上の引用文のとおり「Amazonログイン&ペイメント」と呼ばれていました。しかし、2017年2月から下記のとおり「Amazon Pay」という呼び名に変わっています。
(前略)2月22日をもって、「Amazon Pay」というサービス名に生まれ変わります。
引用:Amazon Pay定期購入で何が変わる?〜アマゾン鈴木氏、メガネスーパー川添氏(ecbeingセミナーに潜入)|ECのミカタ
なぜAmazon Payの導入がカゴ落ち防止につながるのか
Amazon Payの導入でカゴ落ちを防止できる理由は下の2点です。
それぞれ詳しく解説していきます。
【ユーザーの会員登録が不要になる】
Amazon Pay(旧Amazonログイン&ペイメント)を導入すると、AmazonnアカウントであらゆるWebサイトやアプリを利用できます。
amazonログインでは、Amazonのユーザー名とパスワードでログインし、対応している外部サイトやアプリと情報を共有することができます。
引用:Amazonログインを設定する|Amazon
Amazon Payを導入しているサイトでは、下の画像のように「ログインボタン」の近くに「Amazon Pay」のボタンがある(ことが多い)ものです。
出典:Amazon Pay|MEN'S FASHION PLUS様
これを見れば、ユーザーも「ログイン・会員登録をしなくても、Amazonのアカウントで買える」ことがわかります。
【多彩な支払方法に対応できる】
出典:Amazonカートの決済直前ページ
Amazon Payを導入することで、お客さまが選択できる支払方法が一気に増えます。上の画像のとおり多くの選択肢があり、文字で書き出すと下のとおりです。
種類 | 詳細 |
---|---|
クレジットカードまたはデビットカード | VISA、MasterCard、JCB、AMEX、Diners、銀聯 |
Paidy翌月払い | コンビニ、銀行振込、引き落とし |
携帯決済 | d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払い |
ギフト券 | Amazonギフト券、Amazon種類別商品券、Amazonクーポン |
Amazon Payを導入することで、自社で決済サービスを用意しなくても、上記のように多彩な決済手段に対応できます。
【まとめ】通販サイトでのユーザーの動向を把握するには、高機能なクラウドの導入が有効
カゴ落ちやカート落ちの現象も含め、通販サイトでのユーザーの動向を正確に把握するには、売上を分析できる高機能なクラウドシステムの導入が有効です。そして、アパレル事業であれば、アパレルに特化したクラウドシステムを用いるのがベストです。
弊社が提供する『アパレル管理自動くん』は、EC受注管理や倉庫、複数店舗の管理に対応し、実店舗とECの双方で、あらゆるデータを効率的に収集・管理・分析できるアパレル特化型の高機能クラウドサービスです。
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