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【事例あり】アパレル×クラウドファンディングのメリット・手順

2023/4/6

手軽に誰でも事業を立ち上げられる、資金調達がしやすいなどの理由で、近年人気が高まっている「クラウドファンディング」。飲食店や企業の立ち上げ、社会貢献プログラムなど、さまざまな業種で活用されています。

そんなクラウドファンディングは、アパレル事業の立ち上げにもおすすめです。しかし中には、

  • アパレルの立ち上げでクラウドファンディングを利用するメリットは?
  • クラウドファンディングサービスを利用してアパレル事業を立ち上げる方法を知りたい

などの不安や疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、アパレルの立ち上げにクラウドファンディングを利用するメリットや手順を解説するとともに、おすすめのクラウドファンディングサービスを紹介!成功事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

アパレルに向いているクラウドファンディングの種類

インターネット上にプロジェクトや商品・サービスなどを公開し、一般の人々から資金を募集できる「クラウドファンディング」。新しいビジネスモデルの一つとして注目されていて、特にスタートアップ企業や個人が新しいアイデアを実現するために多く利用されています。

そんなクラウドファンディングには、以下の3つの種類があります。

  • 購入型:支援者が製品やサービスなどを事前購入してプロジェクトを支援する形式
  • 寄付型:支援者が寄付をしてプロジェクトを支援する形式
  • 金融型:支援者が出資をしてプロジェクトを支援する形式で、ソーシャルレンディングとも呼ばれる

それぞれ特徴や向いているプロジェクトは異なりますが、アパレルブランドを立ち上げる場合、購入型を利用してプロジェクトを進めるのが一般的といえます。ユーザーにとって、これから立ち上がる新規アパレルブランドを応援できるだけでなく、好みのブランドの服やアイテムをいち早く手に入れられるというメリットがあるためです。

アパレルブランドの立ち上げには、商品の制作や生産に必要な多額の資金が欠かせません。クラウドファンディングを活用して支援者に金銭的なサポートをしてもらうことで、より良い商品づくりが実現できます。

アパレル事業がクラウドファンディングを利用するメリット

アパレル事業の立ち上げを検討している方の中には、「そもそもアパレルの立ち上げにクラウドファンディングを使うことはメリットがあるの?」などと疑問に思っている方も多いでしょう。

アパレルブランドの立ち上げには、クラウドファンディングの活用がおすすめです。その理由は以下の3点。

  • 誰でも気軽に資金調達できる可能性がある
  • ユーザーの反応をダイレクトに知れる(テストマーケティングとしての活用)
  • 金融機関からの借り入れよりも返済のリスクが少ない

それぞれ詳しく解説していきます。

誰でも気軽に資金調達できる可能性がある

クラウドファンディングはインターネットを通じて行われるため、誰でも手軽に参加できます。実際、数あるクラウドファンディングサイトを見てみると、飲食店の開業や映像製作など、業種や会社規模を問わずさまざまなプロジェクトが進行中です。

特に、資金調達が困難な個人や小規模企業でも参加しやすいのがクラウドファンディングのメリット。アパレルブランドの場合、商品の制作や生産に多額の資金が必要なのにも関わらず、資金が調達できずに泣く泣く諦めてしまう人も珍しくありません。そんな人でもブランドコンセプトをしっかりと伝えることで多くの支援者を募れる可能性があるのが、クラウドファンディングの魅力なのです。

ユーザーの反応をダイレクトに知れる

購入型のクラウドファンディングは、支援者が直接製品やサービスを購入することでプロジェクトを支援する形式です。一般的には事前購入という形でユーザーに商品を提供できるため、いち早く顧客の反応が届き、それをもとにデザインや商品の改良を行えます

クラウドファンディングの支援者は、「このブランドを応援したい」という気持ちが大きいケースがほとんど。そんなユーザーの声を商品改善に取り込めるのは、クラウドファンディングを活用する大きなメリットといえるでしょう。

また、支援者の多さは商品やブランドそのものの需要にも関係します。今後どのような商品を開発していくのか、コンセプトを変更する必要があるのかなど、テストマーケティングの場としての活用も可能です。

金融機関からの借り入れよりも返済のリスクが少ない

アパレルブランドを立ち上げる際の資金調達の方法として、金融機関からの借り入れを検討する方も多いでしょう。しかし銀行からの融資を受けたりローンを組んだりした場合、利子を含めた返済の義務があります。

一方、クラウドファンディングはあくまでも「支援」という形式のため、基本的には金銭的な返済は行う必要がありません。もちろん支援者からの支援を無駄にしていいわけではありませんが、返済のリスクを少なく挑戦できるのは大きなメリットといえます。

クラウドファンディングの利用にはデメリットもある

アパレルブランドの立ち上げにクラウドファンディングを活用することはメリットが多い一方、いくつかのデメリットもあります。

目標の資金額を調達できない可能性がある

クラウドファンディングは、目標の資金額を集められなければプロジェクトが失敗となる仕組みです。アパレル事業の立ち上げに必要な資金額は大きく、目標の資金額を集められない可能性があることを理解しておきましょう。

もしもプロジェクトが失敗してしまった場合、プロジェクトを中止するか、再度計画を見直す必要があります。クラウドファンディングサイトにはアパレルの事例も数多く掲載されているため、成功事例を参考に、コンセプトや商品の伝え方、リターン内容などを練り直しましょう。

支援者に対するリターンや返金などの対応が必要

クラウドファンディングは、支援者に対してリターンを提供するのが一般的です。アパレル事業の場合は商品を提供するケースが多いため、商品の製造や配送などに手間やコストがかかります

また、プロジェクトが失敗して支援者に対して商品を提供できなかった場合、返金する必要も出てきます。商品の発送や返金手続きには時間やコストがかかるため、それらを含めて予算やスケジュールを決めることが重要です。

アパレル事業がクラウドファンディングを始める手順

クラウドファンディングを活用してアパレル事業を立ち上げる手順は、以下のとおりです。

  1. 目標の明確化
  2. ブランドのコンセプトやリターン内容の登録
  3. プロジェクトの審査・スタート
  4. 活動報告・支援者への対応

それぞれのステップにおける詳細とポイントを紹介します。

1.目標の明確化

アパレル事業を立ち上げるためには、必要な資金額を明確にする必要があります。原材料の調達や製造、販売などに必要なコストを洗い出し、それをもとに目標の資金額を決定しましょう。

目標を明確化することは、支援者の獲得にも大きく影響します。目標を具体的にしておくことでプロジェクトの内容が伝わりやすくなり、それに共感した人が支援者になってくれる可能性があるためです。

2.ブランドのコンセプトやリターン内容の登録

次に、立ち上げるアパレルブランドのコンセプトやリターン内容を決め、クラウドファンディングサイトに登録します。

クラウドファンディングを活用してアパレル事業の立ち上げを成功させるためには、より多くのユーザーからの共感・支援が欠かせません。「どんな伝え方をすればよりブランドの価値を体感してもらえるか」「どんなリターンを設定すれば支援したい気持ちになるか」など、ユーザーの目線に立って考えることが大切です。すでに多くの支援額を獲得している他社のプロジェクトを参考にするのもおすすめですよ。

3.プロジェクトの審査・スタート

プロジェクトの内容を登録するとサイト上で審査が行われ、通過すればいよいよプロジェクトがスタートです。プロジェクトページが公開されたら、まずは内容に間違いがないか、適切に画像が表示されているかなど確認しましょう。

プロジェクト期間中は、目標の資金額に到達するよう、SNSなどを活用して広報活動を行い、支援者を増やすことが重要です。

4.活動報告・支援者への対応

プロジェクトが成功し、目標の資金額を調達できた場合、支援者に対してリターンを提供します。商品の製造や配送、支援者への連絡など、スムーズな対応を心がけましょう

また、プロジェクト期間中は支援者に対して定期的に活動報告を行うことで、顧客ロイヤルティ(顧客からブランドや商品・サービスに対する信頼や愛着を表す指標)を高められます。商品のリピート購入率や単価などにも影響するため、活用するのがおすすめです。

アパレル事業におすすめのクラウドファンディングサイト

クラウドファンディングで多くの支援者を募るためには、適切なクラウドファンディングサイトを活用することも重要です。ここではアパレル事業の立ち上げにおすすめのクラウドファンディングサイトを3つ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

Makuake

Makuake」は、商品やサービスの新規開発に関するプロジェクトが多く掲載されているクラウドファンディングサイトです。「ファッション」が人気カテゴリーとしてピックアップされていて、実際にサイトを見てみるとアパレル関連事業も多く進行しています。

そんな「Makuake」の魅力は、アナリティクス機能を利用できること。どのくらいのユーザーに閲覧されているか、クリック率やコンバージョン率はどうかなどを分析できるため、テストマーケティングの場として活用できます。

Makuake 詳細情報
種類購入型
利用ユーザー数1,200万人以上
累計プロジェクト数1.5万件以上
手数料20%(決済手数料5%、消費税含む)

CAMPFIRE

CAMPFIRE」には企業だけでなく個人のプロジェクトも多く、1人でブランドの立ち上げに挑戦する人でも使いやすいサイトです。

プロジェクトページの登録が簡単に行えるのも、「CAMPFIRE」の魅力の1つ。文章や画像を入れるだけで魅力的なページが作成できるため、初めてクラウドファンディングを利用する方にもおすすめです。

CAMPFIRE 詳細情報
種類購入型
利用ユーザー数330万人以上
累計プロジェクト数7.4万件以上
手数料17%(決済手数料5%含む)

READYFOR

日本初のクラウドファンディングサービス「READYFOR」。プロジェクトが扱う分野によって専門的なアドバイザーがサポートを行うこともあるため、安心してプロジェクトを進められます。

上で紹介した2つのサイトと比べると寄付型のプロジェクトも多く、社会貢献をコンセプトとしたアパレルブランドの立ち上げにおすすめです。

READYFOR 詳細情報
種類購入型・寄付型
利用ユーザー数90万人
累計プロジェクト数2万件以上
手数料12〜17%

【成功事例】アパレルでのクラウドファンディング活用方法

最後に、クラウドファンディングで多くの資金を調達したアパレルブランドの事例を紹介します。

累計5,800万円を達成したアパレルブランド「ALL YOURS」

東京・池尻大橋に拠点を構えるアパレルブランド「ALL YOURS(オールユアーズ)」では、24ヶ月連続でクラウドファンディングを活用。支援者を「共犯者」と呼び、一緒にアパレルブランドを作り上げるというコンセプトのもと、累計で4,000人のユーザーから、5,800万円もの支援額を獲得しました。これは、ファッションカテゴリの国内クラウドファンディングではトップの支援金額です。

そんな「ALL YOURS」がプロジェクトを進行する中で大切にしていたのが、「共犯者」1人1人を大切にすること。不特定多数の支援者として接するのではなく目の前の1人を大切にした結果ブランドの価値が高まり、多くのファンを獲得しました。コンセプトを明確にし、支援者を巻き込むようなプロジェクトにできたことが成功の要因といえるでしょう。

知名度向上にも成功した「Yasutoshi Ezumi」(現:「EZUMi」)

日本を代表する若手デザイナーの江角泰俊氏が2010年に立ち上げた「Yasutoshi Ezumi(ヤストシ エズミ)」(現:「EZUMi(エズミ)」)。「理にかなったモノづくり」をコンセプトとして、デザイン性の高いニットやワンピースが人気のアパレルブランドです。

そんな「Yasutoshi Ezumi」では、海外の展示会への出展に必要な費用を調達するため、2014年12月〜2015年1月にかけてクラウドファンディングを利用しました。アパレルブランドがクラウドファンディングを活用するのは立ち上げ時であることが多いですが、「Yasutoshi Ezumi」ではマーケティング施策、宣伝施策として活用したのです。「このブランドをもっと多くの人に広めたい」という支援者の気持ちを活用し、成功に導きました。

結果的に、45日間で200万円以上の資金調達に成功。展示会出展後は世界的なファッション誌に取り上げられたり大規模なイベントに日本代表として招かれたり、ブランド自体の知名度を向上することにもつながりました

社会貢献にもつながった「FACTOTUM」×⻲⽥縞

FACTOTUM」は、「デニムに対する深い思いと、モードとリアルクローズを融合する」をコンセプトに、主にメンズ向け商品を展開するアパレルブランドです。ミリタリーやワークウェアの中にテーラードを取り入れたデザインが人気を集めています。

そんな「FACTOTUM」が2017年に活用したのは、クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」が運営する「CLOSS」。日本の伝統的な織物である「亀田縞」を使った商品を開発するプロジェクトを立ち上げました。「CLOSS」はアパレルブランドに特化したクラウドファンディングサービスで、アパレルに興味のある支援者が多いのが特徴です。

もともと新潟県に古くから伝わる織物である「亀田縞」と新進気鋭のブランド「FACTOTUM」のコラボレーションはアパレル業界内で大きな話題を呼び、最終的に約130万円の資金調達に成功しました。支援者になり得るターゲットを明確に定め、効果的にアプローチすることで多額の支援を獲得できたのではないでしょうか。

日本の伝統的な織物を後世に伝えた、社会貢献性の高いプロジェクト例ともいえるでしょう。

クラウドファンディングを活用してアパレルの立ち上げを成功させよう

本記事では、アパレル事業を立ち上げる際にクラウドファンディングを活用することのメリットやデメリット、手順、おすすめのクラウドファンディングサイトなどを紹介しました。

アパレル事業の立ち上げにクラウドファンディングを利用するメリットとしては、誰でも気軽に資金調達ができる可能性があることや、ユーザーの反応を直接知れること、金融機関からの借り入れよりも返済のリスクが少ないことなどが挙げられます。一方、目標の資金額を調達できない可能性がある、支援者に対するリターンや返金などの対応が必要などのデメリットもあるため、理解しておきましょう。

立ち上げに多額の資金を必要とするアパレル事業の立ち上げには、クラウドファンディングの活用が向いています。本記事で紹介したクラウドファンディングサイトや成功事例などを参考にプロジェクトを立ち上げ、より多くの支援者(ファン)を獲得しましょう。

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