まとめ

浮動客とは?集客と固定客化の成功事例3選と、フロアマネジメントのポイントを解説!

売場

マーケティングで顧客を分類する用語の1つに「浮動客」があります。浮動客について調べるとき、多くの人が知りたいのは下のような点でしょう。

  • 浮動客とは何か
  • どうやって集客すればいいのか
  • どうやって固定客にすればいいのか
  • 成功事例はどのようなものがあるか

この記事では、上記4つのポイントを中心に、浮動客について幅広く解説します。浮動客の集客に成功したい、固定客化に成功したいと考えている方には、きっと役立てていただけるでしょう。

浮動客とは

浮動客とは固定化されていない客のことです。立地条件や商品によって集まる客で、動向の変動が激しいのが特徴です。対義語は固定客です。

浮動客のポジションを図で示すと、下のようになります。

図解

参考7つの顧客段階|姫路起業情報室(左記の図を当サイトでカラー化)

この図は「7つの顧客段階」と呼ばれるものです。段階と内容を整理すると、下のようになります。

未知見込客自店の存在を知らない購買対象者
既知見込客自店の存在を知っている購買対象者
初来店客初めて来店してくれた浮動客
再来店客再び来店してくれた浮動客
得意客継続的に来店してくれる固定客
上得意客頻繁に来店してくれる固定客
ファン客自店に大きな利益をもたらしてくれる信者客

この分類でいえば、浮動客は見込客よりは上のランクとなります。

浮遊客とは

浮動客に近い言葉として「浮遊客」もあります。浮遊客は見込み客ですらない人々のことです。

浮遊客とは、会社や商品・サービスの存在は知っているが、見込み客にもなっていない状態の人達のこと。
引用:浮遊客|ドリームゲート

序盤にあげたピラミッドを表にすると、下のようになります。見てのとおり、ピラミッドの一番下でも「見込み客」です。

上得意客得意客初来店客未知見込客

大分類小分類
顧客ファン客
浮動客再来店客
見込客既知見込客

そして、浮動客は見込み客よりさらに上です。このため、浮動客・浮遊客の違いを「ランク」でまとめると、下のようになります。

  • 1位:顧客
  • 2位:浮動客
  • 3位:見込客
  • 4位:浮遊客

似ている単語ですが、こうしてランクで見ると「まったく違う」ことがわかります。

浮動客を取り込むフロアマネジメント(売場づくり)

売場

浮動客を取り込むためには、売場づくり(フロアマネジメント)の工夫が欠かせません。ここでは、フロアマネジメントの基本と、具体的な施策例を説明します。

売場づくり・4つの基本

まず、売場づくりには下記のとおり、4つの基本テクニックがあります。

  • 売りたい商品の陳列面を増やす
  • 「ゴールデンライン」を活用する
  • 売りたい商品は中央に配置する
  • 売上の低い商品は、売れ筋の商品で挟むように陳列する

参考「小売店頭論の最高峰----流通経済研究所編『インストア・マーチャンダイジング 製配販コラボレーションによる売場作り』を解剖する|リテールテックJAPAN

ゴールデンラインとは商品がもっとも見やすく手に取りやすい高さのことです。それ以外の点は、基本的に「売りたい商品を目立たせる」という基本的なコツといえます。

売上が低い商品(でも売りたい)という場合は、売れ筋と挟むことで目に止まりやすくなるため、これも有効なテクニックです。

その他の具体的な施策例

上記であげた基本以外にも、具体的な売場づくりの施策は多くあります。ここでは、下記の3点を解説します。

それぞれ、詳しい内容は当サイト内の関連記事でまとめています。

 

【FKUを最適化する】

FKUとは店頭に出す品数(型数)のことです。FKUが多いほどにぎやかになり、立ち寄った浮動客が欲しいアイテムが見つかる可能性が高くなります。

逆に、FKUが少ないほど「売場をすっきりさせやすい」「管理が楽」というメリットがあります。また顧客にとっては「自分の欲しいアイテムがあるかどうかすぐわかる」という点がメリットです。

FKUは多い・少ないのいずれかが正解というわけではありません。「どんな層に何を売りたいか」で、多い・少ないのどちらを取るかが決まります。

 

【誘目性を計算したディスプレイを行う】

浮動客の中でも、特に初来店の顧客を引きつけるには「目を引く」ことが重要です。この「目を引く」効果を誘目性といいます。

誘目性を高めるデザインについては、カラーパターンなど多くの法則があります。この点は、下の記事で詳しくまとめています。

 

【飲食店など他のテナントとの連携を図る】

たとえばデパートやショッピングセンター、地下街などの店舗であれば「他のテナントとの連携」が鍵になることも多いものです。こうした場所では、浮動客は他のテナントをメインの目的にしていることが多いためです。

飲食業界では、近年食品売場とレストランが合体した「グローサラント」という新しい業態が登場しています。この業態は、食品売場とレストランが、それぞれ浮動客を取り込むための新しい「売場づくり」といえるでしょう。

浮動客の集客と固定客化に成功した事例3選

浮動客をどう集めるか、あるいは固定客化するか―。実際に成功した事例を見たいという人は多いでしょう。ここでは、下記3つの成功事例を紹介します。

大丸ライバルのそごう再開で、逆に固定客を増やす
劇場版『コード・ブルー』失敗したくない浮動客を「知名度」でつかみスマッシュヒット
サンピア感染症『O-157』拡大の中、ポイントカードなどで浮動客の固定客化に成功

以下、それぞれの事例の紹介です。

大丸:ライバルのそごうのリニューアル時、逆に固定客を増やす

大丸出典:大丸心斎橋店

大丸心斎橋店は、ライバルであるそごう心斎橋本店のリニューアル(建て替え)を機に、浮動客を固定客化して成功しました。これは「工事中にお客をとった」という簡単な話ではありません。

このリニューアルでそごうの売場面積は、大丸の3.7万㎡を超える4万㎡となりました。それが有利に働くことを計算した上で、そごうも建て替えに踏み切ったわけです。建て替え工事には数年かかりましたが、大丸はそごうの工事開始時から多くの対策をとりました。その1つがカード会員システムの強化です。

カード機能を搭載した大丸アプリの積極的な機能拡充や、ポイントがよりお得に貯めれるクレジットカードのプロモーションなどに力を入れた結果、下記のとおり、対策前は55%前後だったカード会員の割合を、対策後(そごう再開時)には70%まで引き上げました。単純計算で浮動客を約15%固定客化したといえます。

そごう再開前には54~55%であった売上に占めるカード会員の割合が、再開後には70%へと上昇した。そごうの再開をきっかけに、浮動客ではなく大丸の固定客が大丸心斎橋店に来店し、買い物をするようになったのである。
百貨店のまちづくり ―大丸心斎橋店による周辺開発の事例―|大阪経済大学
(※クリックするとPDFのダウンロードが始まります)

「カード会員」自体はシンプルなシステムですが、それを有効活用するのは難しいものです。「大丸で」買い物をするメリット(特典)を視覚化することを徹底したことが、大丸の成功要因の1つといえます。

映画:『劇場版コード・ブルー』のヒット

コード・ブルー出典:劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命|映画.com

2018年の映画界では『劇場版コード・ブルー』がスマッシュヒットを記録しました。7~8月の夏休み公開の映画で、興行収入の1位を記録しています。

このコード・ブルーがヒットした理由について、専門家は浮動客が人気ドラマの安定感を求めたためではないかと分析しています。

『劇場版コード・ブルー』のスマッシュヒットは、そのときどきの評判に身を任せて鑑賞対象を決める「浮動客」が、その他の作品に気乗りせず、人気テレビドラマの安定感を求めたためではないかと推測する。
『カメラを止めるな!』のヒットは、従来のマーケティング方式を揺るがす|ビジネスジャーナル

この傾向は映画界に限定されません。浮動客は名前が知られていてハズレがない商品やサービスを求めることが多いというのは、各業界で共通して見られる傾向です。特にこの傾向は、業界が不安定な際や、爆発的なヒットがない場面ではより強くなります。

そのため、名の知れたサービスや有名ブランドには、浮動客がサービスに対して期待をしやすく、取り込みやすいという特性がると言えます。また同時に、購入頻度により顧客層がより複雑に分かれているとも言えるでしょう。有名企業の販売戦略においては、購入頻度に基づく顧客分析がより重要になります。

そう考えると、コード・ブルーのヒットで成功した人は、「人気テレビドラマの映画化を企画した方々」といえます。「作品を選んで、映画化の権利を獲得した時点」で、有利なポジションを獲得できたということです。企画側は同時に一定以上の成功を宿命づけられていることでもありますが、、、

サンピア:ポイントカードの活用に成功

サンピア出典:サンピア

大阪府堺市の老舗ショッピングセンターであるサンピア。大阪府の分析によれば、サンピアは食中毒のO-157が猛威を奮ったときにも、不利な環境の中で来店者を増加させました。

大阪府によるレポートの要点をまとめると、下のとおりです。

  • 月間22万人が来店するようになった
  • 『サンピアジョイカード』の発行枚数が5万枚に達した
  • 主にこのカードによって、浮動客を固定客化した
  • 自動消毒液器を各店舗に設置するなど、感染対策も徹底した

参考泉北光明池専門店事業協同組合|大阪府

先ほどの画像でも、右上に「JOYカード」という文字が見え、現在でも固定客をつなぎとめるのに貢献していることが伺えます。また、その世情に合わせそれを適切にアピールしたことも要因の1つでしょう。

特に不安定な状況下では、衝動的な購入が発生しやすくなるため、そういった状況下でこそ、いかに長期的に利用するメリットがあるかを演出することが重要になります。

また、感染症対策が必要な中成功したという点では、2021年現在のコロナ対策にも通じるヒントとなるでしょう。

浮動客と固定客のどちらを重視すべきか

浮動客と固定客について「どちらを重視した戦略をとるべきか」と考えることもあるでしょう。結論は「固定客」ですが、ここではその理由を説明します。

1人の固定客は、浮動客40人分に相当する

一般的に、固定客1人の売上や利益は、浮動客40人分に相当するとされます。

ロイヤルカスタマーの価値は他の客層よりはるかに高く、浮動客と比較して累積売上高/粗利高が40倍もあります。一人のロイヤルカスタマーは、浮動客40人分に相当するのです。
図解入門業界研究最新ドラッグストアの動向とカラクリがよーくわかる本|Google Books

「40人」という数値は業界や企業によって変わります。しかし、固定客を1人獲得する方が圧倒的に効率がいいことは確かです。

下記のように「浮動客より不動客」を大事にするべき、という指摘もあります。

それ(浮動客)に反して、古くからの顧客は「不動客」である。
人の心を動かす技術: 人間関係をスムーズにする絶対ルール64|Google Books

固定客を「不動客」にできない理由として、固定客だと勘違いしてしまうという原因が1つ挙げられます。

担当者は「お得意様」「固定客」と思っているのに、当のお客はそんなことは考えたこともない。たまたま欲しいクルマがあったから、近くにお店があったから何度か行っただけで、自分は“浮動客”と考えている。
<視線>不動客|日刊自動車新聞 電子版

「勘違いしない」ことは通常の人間関係でも必要なことですが、ビジネスでもそのような「人情の機微」が重要になる部分があります。なお、固定客がどのような仕組みで浮動客として流出していくかは、下の論文で分析されています。

参考流通段階におけるブランド内競争とブランド間競争 - 埼玉大学

浮動客と固定客を比較するデータ

浮動客と固定客の売上と利益については、下記のようなデータもあります。ドルなので約100倍する必要がありますが、比率としては数字を見るだけでわかるものです。

顧客の種類年間購入額粗利率利用年数累積売上高累積粗利高
ロイヤル客2,756$25%17年46,052$11,713$
常連客1,404$22%10年14,040$3,089$
浮動客416$18%4年1,664$300$
バーゲンハンター156$16%2年312$50$
間に合わせ客52$15%1.5年78$12$

参考習慣購買のパワー|Google Books

固定客中心のビジネスは安定している

固定客中心のビジネスが安定していることは、あらゆる業界の事例を見てもわかります。たとえば、コロナ禍で影響を受けなかった葬儀社は、地域密着型の「街の葬儀社」でした。

インターネットを介した葬儀社紹介会社を利用する顧客は、価格志向が強く、葬儀を簡単に済ませようという浮動客が多いのでコロナによる影響を受けやすい。そのため、葬儀紹介会社と提携している葬儀社も影響を受けやすい。これに対し、地域の人たちとつながりのある顧客を対象にしている街の葬儀社は、葬儀紹介会社と提携している葬儀社ほどコロナの影響は受けない
簡素化の流れ加速「葬儀業界」コロナ禍の苦悩|東洋経済

上のような傾向は、コロナに関係なく見られるものです。消費税増税後のドラッグストアでも、やはり固定客が多い地域密着型が有利になり、浮動客中心の大規模型が不利になりました。

「ドラッグストア」では、固定客の繰り返し来店によって売り上げと客数を増やす小商圏高シェア型が早期に売り上げを回復した一方で、低価格によって不特定多数の浮動客を広域集客する大商圏低シェア型が低迷している。
消費税増税後の 我が国主要小売業態の動向|流通とシステム

浮動客の行動パターンがわかる研究報告

プレゼン

浮動客をつかむためには、浮動客の行動パターンを知る必要があります。ここでは、そのパターンがわかる研究報告を3例紹介します。

以下、それぞれの報告の紹介です。

チラシ広告で動く消費者は固定客になりにくい

「チラシで浮動客を呼び込む」⇒「それで固定客になってもらう」という戦略は、多くの人がイメージするものです。しかし、そもそもチラシで動く消費者は固定客になりにくいという指摘もあります。

チラシ広告に動く消費者というのは浮動客が多く、原則として固定客になりにくいのです。浮動客は、絶えずチラシ広告を見て、その都度小売店を変える傾向があるからです。
「顧客満足」を高める35のヒント: キーワードで比較・お客様から選ばれる販売方法とは|Google Books

つまり、今週のチラシでうちに来ても、来週のチラシで他店に行ってしまうということです。あくまで1つの見方ですが、この見方では「そもそも、固定客が欲しいならチラシ広告を打つべきではない」といえます。

浮動客と固定客は動く時間帯が異なる

業種にもよりますが、たとえばスーパーでは浮動客と固定客の動く時間帯が、それぞれ下のように分かれると報告されています。

浮動客午前10時前後
固定客午後4~5時

この理由は下のように分析されています。

固定客はスーパーマーケットとして、浮動客はデパートの代用として利用しているからである。
地方町のスーパーマーケットの性格―高蔵寺農業協同組合の購買圏について―|CORE

上記はスーパーの例ですが、自身の業界での時間帯の傾向を把握するのは有益といえます。

特定の商品を目的買いすることが多い

これもスーパーの事例ですが、浮動客は「特定の商品を目的買いすることが多い」ことが報告されています。「欲しいものを買ったらすぐ帰る」ということです。報告の資料は下のものです。

参考公益社団法人・中国地方総合研究センター

資料で中国地方のスーパーの販売担当が指摘しているのは、以下の内容です。

  • 浮動客は、明らかに特定商品の目的買いをしている
  • 買うものや量が決まっている
  • そのため、単価向上や購入点数増加の取り組みが難しい

逆にいえば、固定客は単価アップや購入量増加の取り組みをしやすいといえます。この報告でも、やはり固定客を増やすことが重要であるとわかります。

まとめ

男性

今回紹介した成功事例では、浮動客の固定客化で「ポイントシステムの活用」が特に多く見られました。また、時間帯や購買傾向などの分析も多くのデータを集計して見えてきた実像といえます。

自社・自店ならではの浮動客の集客や固定客化を考えるためには、まず「データを的確に集めて分析する」ことが欠かせません。そして、そのデータをポイントシステムなどと高度に連携させる必要があります。

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