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【KPI】アパレル小売業が目標達成するために抑えるべき3つのコト

2017/9/20

アパレル小売業が目標設定する際によく用いられるKPI
目標の達成に向けて会社全体の意思統一など、設定することによって様々なメリットが見込めます。経営者目線、店舗スタッフ目線でKPIについて以下のような疑問を持つ方が多いかと思います。

この記事では、上記の疑問について詳しく説明します。また、KPIにまつわる必要な知識についても解説していきます。

 

KPIとは

アパレル小売業においてよく耳にするようになったKPIとは一体なんなのか、まずは言葉の意味と主な特徴を簡単に説明します。 

KPIの意味

KPIとは「Key Performance Indicator」の頭文字を取った略語で日本語にすると「重要業績評価指標」という意味です。さらにわかりやすく説明すると、組織やチームが目標を達成するために設定する具体的な行動指標になります。

KPIの利用方法

ただ目標を掲げただけでは、目標に対するプロセスがチームや個人により、バラつきが生じます。また、分析や計測のできないプロセスを辿っても、それが必ずしも目標達成に貢献したのか定かではありません。KPIはチームや組織で目標達成までのプロセスを統一し、さらに数値として可視化することで客観的に分析や計測を行うことが可能になります。 

KPIとKGI

KPIとよく一緒に使われる言葉でKGIがあります。KPIとKGIは親子関係にあり、KGIを達成するためにKPIを設定します。KGIとは「Key Goal Indicator」の頭文字を取った略語で日本語にすると「重要目標達成指標」という意味です。KGIは言わば、チームや組織全体の最終的な目標になります。

KKGIだけ掲げてもKPIが伴っていなければなんの意味もありませんし、KPIだけ設定しても着地点が無ければ設定する意味はありません。KPIとKGIは必ずセットで使用しましょう。

例えば、飲食業界ではKGIを「年間売上を1.5倍にアップしたい」とすると、KPIは年間売り上げを上げるための目標設定になりますので「人気メニューの注文数を2倍に上げる」などになります。

 

KPIのメリット

販売戦略にKPIを導入することで具体的なメリットとして以下のものが挙げられます。

  • 組織内の意思統一が図りやすくなる
  • 目標に対する道筋が明確になる
  • 目標に対して評価を客観的に測定できる
  • 組織内のアフォーマンスアップに繋がる

上記メリットについて、経営者目線から詳しくご紹介します。

組織内の意思統一が図りやすくなる

KPIを定めることにより目標達成までのプロセスが明確に数値として視認できるため、組織内の意思統一が図りやすくなります。組織内でもポジションや役職によって業務内容が違いますし、考え方においてはさらに細分化され個人レベルで変わってきます。それをKPIというフィルターを通すことでポジションや役職、個人の考え方を統一させた状態で日々のタスクに落とし込めます。

目標に対する道筋が明確になる

意思統一が図りやすくなると目標までバラバラだった道筋がひとつにまとまり明確になります。道筋が明確になれば目標に対する進捗状況の把握や共有がしやすくなり、今なにをすればいいのか、今後どのように行動するのか、などの具体的なアクションを起こしやすくなります。もしも、そのアクションが道筋から外れていたとしても、KPIの道筋が同じであればすぐにチームメンバーや組織内で修正することが可能です。

目標に対して評価を客観的に測定できる

目標に対しての行動や指標をKPIで数値化することにより、評価を客観的に測定できます。主観で感じたことや、経験したこと以外にも客観的な数値を測定できれば目標に対する精度が上がります。精度が上がれば成功した施策、改善すべき箇所などが浮き彫りになりチームや組織内ひとりひとりのスキルアップに繋がります。

組織内のパフォーマンスアップに繋がる

KPI最大の利点は他のメリットが実現したことによる組織全体のパフォーマンスアップに繋がることです。組織内でしっかりKPIの理解度や運用方法を熟知していればプロジェクトメンバーやチームが変わったとしても、プロジェクト進行方法を変えることなくKGIに向かってスピーディーにアクションに移れます。

 

KPIの設定方法

実際にKPIを設定する手順を見ていきましょう。 

1.データを分析しKGIを設定する 

KPIはあくまでも指標です。KGIがあって初めて機能します。まずは現状を把握、分析したうえで実現可能なKGIを設定しましょう。希望的観測であまりにも突飛なKGIは実現が難しいだけではなく、アクションが無駄になる可能性が高く正しいフィードバックを得ることが難しくなります。さらにKGIを達成できないことでチームのモチベーションの低下に繋がります。

2.目標達成に必要な項目を洗い出しKPIを設定する 

KGIを設定したら次は達成に必要な項目を洗い出しKPIを設定しましょう。KPIを設定する時はロジックツリーの活用がおすすめです。ロジックツリーとは目標から派生する課題をツリー状に細分化していき、問題の原因や解決法を導き出すことができます。KGIをツリーの頂点とし、派生する課題をどんどん逆算していくことで目標達成に不可欠な要因の漏れを防ぎ、まずは目標に対するプロセスの全体像を把握しましょう。

3.KPIに対してなにをすればいいのか導き出す

最後にKPIに対してのアクションを考えましょう。KGIからロジックツリーを活用し、データを分析してKPI求めたいならば、なにを行えば良いか答えが導き出せます。あとはチーム全体でKPI設定過程と分析結果を共有しアクションに移すだけです。ここまで一連のフローを組織やチームメンバー全員がしっかり理解しましょう。

 

KPIを設定する際の注意点

KPIを設定する際に気を付けておきたいことや注意点を紹介します。

KPIは明確に数値化できる項目を設定する

KPIを設定する際は必ず明確に数値化できる項目をキーにしましょう。数値化できない項目を設定しても経過観測できないだけではなく、そもそもKGIに結びつかないためなんのためにKPIを導入したのかわからなくなります。数値化できる項目はKGIによって変わるためロジックツリーをしっかり活用しKGIとKPIに根拠を付けましょう。

KPI設定は多すぎないように

KPIを設定するうえでのもうひとつの注意点は、KPIに設定するキーを多くならないようにしましょう。KPIのキーが多すぎるとキーに対するアクションが増え、タスクを抱えすぎてしまいチームや組織の個人差が生まれ正しい計測ができなくなります。そのため、KPIはチームメンバー全員が取り組める数に絞りましょう。

アパレル小売業におけるKPI

アパレル小売業においてKPIのキーとしてよく挙げられる項目と、KPIを活用するうえで使われる単語を詳しく説明していきます。   

売上

ひとつの例としてアパレル小売業におけるKGIが予算だとするとKPIになり得るキーで最初に頭に浮かべる重要な項目は売上(Sales、Net Sales)です。ロジックツリーでも予算の次に繋がる項目に挙げられます。しかし、明確な数字は出せるものの、あまりにもカテゴリが大きいのでKPIのキーとしてアクションを絞るのは難しいでしょう。

まずはここを起点に「売上を立てるにはなにをすればいいのか」をどんどんツリーとして細分化していきましょう。日々、当たり前にやっている予算計画でもKPIを意識して分析を行うことで、目標に対しての道筋がより明確になります。

 

客単価

次は客単価(AT、Amount Per Transaction)です。平均客単価は売上÷購入客数で算出されます。客単価はいわばその店舗のブランド価値に繋がります。一概に高ければ良い訳ではなくその店舗の属性にマッチしているかどうかが重要です。

この項目をKPIにする場合、店舗の属性にマッチしていない数値にならないように注意しましょう。それを踏まえKPIを達成するためにどの価格帯のアイテムをメイン商材にするのか、どのようなアクションをしていくかじっくり考えましょう。

入店客数と購入客数

次は入店客数 (Traffic)と購入客数(Transaction)です。入店客数と購入客数から算出される決定率(CV、Conversion)は売上の次に来る重要な大カテゴリになります。入店客数は1時間毎、曜日、前年比、天候、立地、などさまざまな要因で変動しやすい項目です。しっかりデータを分析して店舗の状況を把握しましょう。

購入客数は入店客数のような外的要因にほぼ左右されず、VMDやスタッフのサービス、商品価値やお客様の満足度によって変動します。ここが1番チームや組織の努力の成果が見えやすい項目になるので重要なKPIキーとなります。

 

値引き率

値引率はセール商材とは別にセット販売でオフ率が掛けられたり、館やブランドのイベント施策に関わる項目です。値引き率が高ければそれだけ売上、粗利が低くなりますが集客や訴求に大きく貢献できるため見過ごせないKPIになります。値引き率に関わるイベントや施策は、年間ベースでデータを分析しましょう。そして値引き率は店舗の属性からあまり逸脱しないように注意が必要です。

セット率

セット率(UPT、Unit Per Transaction)は一人のお客様が平均で購入した枚数になります。客単価と商品単価(AUR、Average Unit Retail)に密接に関係しています。セット率をKPIに設定する場合、客単価と商品単価を必ず紐付けましょう。例えばセット率を上げるためにセール商材やアパレル小物のような単価の低いアイテムをセット販売するのか、VMDやサービスの向上を図り、単価の高いアイテムをセット販売するのかで設定するセット率、客単価、商品単価が大幅に変わってきます。

 

プロパー割合

プロパー割合は売上のいくらがプロパー商品かどうかの割合です。まず、プロパーは「適切な」「本来の」といった意味を持ちます。プロパー割合が高いほうが単純に商品単価が上がります。そして、この項目で一番重要なプロパー消化率に直結します。

プロパー消化率が高ければそれだけ粗利が上がるので、MDやSVの仕事に密接に関わってくる企業全体で見ても重要な項目です。店舗では季節ごとの強化商材やトレンドアイテムの消化率に関わってくるためこの項目の分析も欠かさないようにしましょう。

 

アパレル小売業におけるKPI設定の難しさ

いざKPIを設定しようとした時にうまくいかない、難しいと感じることがあるはずです。KPIをアパレル小売業に落とし込む際に必ず知っておかなくてはいけないことがあります。

店舗の属性を理解し分析することが重要

KPI設定分析する時は店舗の属性を理解して分析することが重要です。ブランドイメージだけではなく店舗の立地、客層、インバウンド割合、館の属性、坪数、競合店などでかなり細かく分類されます。同じブランドだとしても都内店舗と地方店舗ではKPIが変わります。そのためKPIを活用した販売戦略を立てるためにはチーム全体が店舗の属性を把握し、アクションを起こさなければいけません。

下記の記事にて、具体的にどこまで細かく一般的に分析されているか詳しく解説しています。

 

顧客と新規客ではKPI設定が同じであるとは限らない

当たり前のことですが顧客(リピーター)と新規客では客単価も商品単価もセット率も全然違います。また新規客は年齢、属性、インバウンドでも変わってきます。そのため、それぞれの客層にあったKPIを設定する必要があります。この時あまり細かくカテゴライズしてしまうと目標に対して道筋が散漫になってしまうため、店舗に合うようにトライアンドエラーを繰り返し調整しましょう。

以下の記事の分析方法では代表的な顧客分析である「3C分析」について詳しく解説しています。

 

プロパー割合と在庫管理問題

アパレル商材の販売サイクルは非常に早く、そして展開できる期間は短いです。売れ筋や強化品番のみをKPIアクションに設定するわけにはいきません。また、全国に展開しているブランドは地域によって売れる商材が変わってきます。そのためKPIは細かい期間で調整が必要です。

在庫管理をしやすくし、適切にプロパー消化をする手順として

  • 一週間を目安として細かいスパンでKP設定し日々調整
  • 抱えている在庫と照らし合わせて強化する商材を変更

上記のことが挙げられます。

実際にプロパー消化成功例としてユナイテッドアローズでは、粗利率がコロナ前の水準を上回る結果が出ています。不要品番を見極め在庫の適正化を進め、春物のセールを無くしたことと、販売スタッフの業務負担を軽減し接客に注力できたことでCVが上がり、プロパー消化に繋がったことが要因とのことでした。

引用:https://www.fashionsnap.com/article/2022-11-08/ua-2303-2q/

以下の記事では在庫管理について詳しく解説しています。

 

アパレル小売業が目標達成するために抑えるべき3つのコト

KPIを活用して目標達成するために抑えておきたいコツを3つに絞って解説します。

 

PDCAサイクルを回す際のメソッドを統一する

データを分析してKGIを決めKPIを設定し、アクションを起こしデータを集め、またKGIを設定するまで一連のメソッドは組織の立場が違えど同じチームメンバーなら統一しましょう。統一することでチームメンバーの間違いを修正しやすくなり、予算を決めてからアクションに移す時間が短くなります。また同じメソッドで運用することで複数の店舗管理、在庫管理も把握しやすく展開する店舗が多い場合にも非常に有効です。

 

日々のタスクをKPIに沿って考える癖をつける

一連の行動はすべてKPIに沿って考える癖をつけましょう。日々のタスクをKPIに紐付けて、論理的に考える癖があればチーム全体の精度が高まります。精度が高まれば会議やMTGの時間も短縮でき、意見交換や販売戦略もスムーズに進みます。何事も聞きかじっただけでは意味を理解したとは言えません。繰り返し地道に覚えて行動することが目標達成の近道になります。

 

組織内の誰もがKPIを理解できるようにする

そして最後に一番重要なポイントは組織内の誰もがKPIを理解できるようにすることです。理解できなくては行動に移れません。自分だけ理解していてもほかのメンバーが理解し、自分で考えられなければ後任の育成もままなりません。いくら戦略をシステマティックにしても目標達成に向かってアクションを起こすのも考えるのもすべてチームメンバー全員です。

下記の記事では経営者目線で必要な職場マネジメントについて詳しく解説しています。

 

KPI活用トレンドとアパレル販売戦略の推移

最後に近年におけるアパレル小売業の販売戦略、KPIの推移を実際の例を交えてご紹介します。

 

成熟経済のKPIトレンド

成長経済から成熟経済に移り変わり、KPIのトレンドもどんどん変化しています。家計消費支出内約はサービス支出が今や4割を占め、財産の支出、中でも衣服や靴における支出割合は4%弱(※2019年)まで低下しています。そんな中起こったコロナ禍による「買い控え」や「巣篭もり」などの影響は社会全体に大きな打撃を与えました。

もちろんアパレル小売業にとっても、多くのブランドや企業に影響を与え深刻な問題となっています。そんな目まぐるしい変化が起こる近年、アパレル販売戦略としてD2Cが大きな注目を集めています。D2Cとは「Direct to Consumer」の頭文字を取った略語で「メーカーが直接消費者に販売する」形態のことです。似た言葉にB2B、B2CなどがありますがD2Cに関しては下記記事で詳しく説明しているのでぜひ参考にしてください。

 

循環経済におけるKPI

そしてアフターコロナと呼ばれる世界でKPIはどのようになるか、企業はどのように対応すべきか新しい発想で経済を切り開いていかなくてはならないと言われています。そこで注目されているのが従来のリニア・エコノミーに代わる「循環経済(サーキュラー・エコノミー)」です。この環境負荷軽減と経済成長を両立するモデルは、もちろんアパレル小売業でもSDGsが推進されており、すでに新しい販売戦略として取り組み始めている企業も多く存在します。例えばファストファッションに対して1枚の服を長く着続けることをコンセプトに、KPIとして提案するスローファッションが挙げられます。

また、最近ゴールドウインがCO2を排出しない電動バイクメーカーとパートナー契約締結に至った事例もあります。このように世界は今までのような「大量生産」「大量消費」の時代から限りある資源や消費量を抑えつつ、循環する資源に新たな付加価値を生み出し経済活動していくビジネスモデルに移行しつつあります。そして、その付加価値こそ新たなKPIのキーになり得るのです。

引用:https://www.fashionsnap.com/article/2022-10-31/goldwin-cake/

 

まとめ

目標達成のカギは分析と数値からトレンドを読み取る

いかがでしたでしょうか。KPIを理解し適切に運用することでこれからの時代に即した販売戦略が建てられるようになります。目標達成のカギは正確なデータ分析とKPI数値の変化からトレンドを読み取ることにあります。 

これまで解説した通り、KPIの設定には数字(データ)が非常に大切になってきます。

ただ、店舗の拡大やEC店舗の参入により、その数字の整合性を正確に取ることはアパレル業界でいまだ課題

そんな課題を解決してくれるサービスが、アパレル特化型クラウド『アパレル管理自動くん』です。

正確な数字を扱い、合理的なKPIを設定しましょう。

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