「香り」に触れた瞬間に、ある情景や人物が頭に浮かんだり、忘れていた古い記憶がよみがえったり…。
そんな経験、皆さんにもきっとあると思います。嗅覚は五感の中で最も強く感情に訴えると言われており、化学的にもその効果が証明されています。
今回は五感に訴える新しいプロモーションのカタチとして注目を浴びている「香りマーケティング」についてご紹介いたします。
香りは感情を左右し、ブランドのイメージに独自性をもたらす
人の感情に影響をおよぼす知覚的要素のうち、嗅覚の影響力は全体の75%を占めると言われています。
これは鼻で香りを感知する器官と、記憶と感情をつかさどる脳の領域との密接な関係によるものです。
嗅覚から得た情報が脳に直接作用するため、香りは記憶を呼び起こしやすく、また快・不快といった人間の感情を大きく左右するのです。
香りマーケティングのメリット
このような嗅覚の特性を、マーケティングやブランディングに活用しようという試みが「香りマーケティング」です。良い香りがある場所には多くの人が集まり、長く滞在します。そしてその体験は心地良い記憶として脳内に刷り込まれます。
つまり良い香りで満たされたショップは、
- 顧客の滞在時間が長くなり購買意欲を高める
- リピート率が向上する
という効果も期待できます。
香りは心地良い空間を演出するだけでなく、ブランドのイメージに独自性をもたらします。
顧客の記憶に残る体験や感情の繋がりを生むことは、長期的なブランドの信頼構築においてとても重要な要素の1つです。
それを具現化する「香りマーケティング」は、2010年頃から徐々に注目されるようになりました。現在はホテルや空港内ラウンジ、レジャー施設、商業施設をはじめ、アパレルショップでも数多く導入されています。
世界に1つだけの香りで店内を満たす
香りがついている物質は、世の中に40万種以上あると言われています。そしてそれらを組み合わせることにより無限の香りをつくり出すことができます。
専門のスキルを備えた調香師がオリジナルの香りをブレンドするサービスもあり、ブランドのテイストや価値観に合わせたつくった世界に1つだけの香りで店内を満たすことが可能です。
一方でマイナスイメージも
しかし、場合によっては意図とは逆に、ブランドに対するマイナスのイメージを顧客に与えてしまうかも知れません。
香りの好みは人によって異なります。誰かにとって心地良い香りでも、他の人にとっては不快ということだって十分にあり得ます。自身の好みで判断するのでなく、香りの専門家に相談しながら、慎重に選んでいく必要があります。
また香りは長時間同じ場所に留まってはくれません。さらに広範囲に広がりにくいという特性ももっています。
広い空間を長時間一定の濃度の香りで満たすための専用の機器やサービスも多数登場していますので、必要なコストと費用対効果を考慮のうえ、導入を検討するのが良いでしょう。
まとめ
香りがブランディングや顧客の購買体験において、良い効果をもたらすことは間違いなさそうです。
記憶に残る「香り」というツールを活用して、さらなるカスタマーエクスピリエンスの向上を実現させてみてはいかがでしょうか。