Eコマース市場がますます盛り上がりをみせる一方、アパレル各社の実店舗(オフライン)販売は苦戦を強いられているのが現状です。
そんな中、インターネット上でのコミュニケーションや情報提供によって、実店舗での購買を促す新たなサービスが注目を集めています。
その仕組みや狙いは、どのようなものなのでしょうか。購買体験にイノベーションをもたらす「FACY」の実力と今後に迫ります。
ニュー・リテール・プラットフォーム「FACY」とは?
(出典:FACY)
「FACY」は、ユーザーがファッションに関する質問や欲しいアイテムの相談を投稿し、ブランドのスタッフやショップ店員がそれに回答するという、オンライン接客サービスです。
やり取りはすべて公式ホームページ上で公開されているので、ほかのユーザーもその内容を閲覧して参考にすることができます。
FACYように、インターネットの情報から実店舗へとユーザーを誘導するO2O(Online to Offline)の取り組みは既に多数存在していますが、運営を手掛けるスタイラー株式会社では、「FACY」をオンライン・オフライン関係なく、リアルな“ユーザーのニーズ”に対して最適なサービスを提供する「ニュー・リテール・プラットフォーム」と定義しています。
2017年には、コマース機能も実装し、ユーザーは「FACY」上でそのままアイテムを購入できるほか、実店舗での取り置きや来店予約もできるようになっています。
出店数は、現在約450店舗。大手セレクトショップのほか、売り上げ規模が小さい地方の個店の参加が多いのも特徴です。これは「コモディティは取り扱わない」というコンセプトゆえのもので、AmazonやZOZOといった大手ファッションEコマースと比較すると平均単価は約3倍になっています。
今年2月には、月間ユーザー閲覧数が100万人を突破。「SmartNews」「Gunosy」「LUCRA」「LINE news」「Fashionsnap.com」など複数の大手メディアとも提携し、多くのユーザーおよびアパレルショップの支持を集めています。
出店のメリット
自分の商品をレコメンド
「FACY」に出店しているショップの店員は、ユーザーのさまざまな質問や問い合わせに対して、自店舗で取り扱う商品をレコメンドすることができます。商品とともに店舗の情報も掲載されるので、それを見たユーザーの来店が期待できます。
「FACY」上で購入された場合には、宅配業者が店舗まで取りに来てくれる仕組みとなっており、複雑な決済手続きや配送手配は不要です。
しかも手数料は20%と、一般的なファッションECモールと比較してかなり安く設定されているのもポイントです。隙間時間の簡単な作業で、売り上げの増加に寄与することができるのです。
PR効果
また多数のWEBメディアとの連携によってアクティブユーザー数は増加傾向にあり、これまで自社ブランドに触れたことのないユーザー層へのPR効果も期待できそうです。
まとめ
「FACY」が目指すのは、「未来の購買体験を届ける」こと。テレビや雑誌といったマスメディアに依存し、ブランド側からの一方的な情報発信をおこなってきたファッション業界を、ネット上でインタラクティブな購買体験を実現する「FACY」のようなソーシャルメディアが変えていくかも知れません。
今後はアジアへの進出や、AI・チャットボットの導入など、さらなる進化と発展が見込まれています。興味をお持ちの方は出店を検討してみてはいかがでしょうか。