アパレルのマーケティングでもしばしば見聞きする「マーチャンダイジング」。この用語について、下のような疑問を持っている人も多いでしょう。
この記事では上記の疑問に答えつつ、マーチャンダイジング全般についてわかりやすく説明していきます。アパレル業界の方はもちろん、マーチャンダイジングの概要をざっと知りたいという方にも、参考にしていただけるでしょう。
なお、マーチャンダイジングの正確な意味はわからなくても、
- 大体の内容はわかっている
- 自分たちに必要なのは、IT系のソリューションである
- その中で「アパレル向け」のものを探している
という方もいるでしょう。その場合は、アパレルに特化した総合クラウドサービスの「アパレル管理自動くん」をおすすめします。
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目次
マーチャンダイジング(MD)とは?
マーチャンダイジングとは、簡単にいうと「マーケティング戦略」です。より詳しく、意味や辞書の定義をまとめると、下の表のようになります。
意味 | 商品を適切な量・価格・タイミングで提供する企業活動 |
---|---|
辞書の定義 | 「マーケティング戦略」と同じ意味 |
日本語 | 商品政策・商品化計画など |
具体的内容 | 5つのステップや、3種類のMDを実践する |
それぞれ詳しく説明していきます。
意味…商品を適切な量・価格・タイミングで提供する企業活動
正確な意味は、上の見出しのとおりです。これをもっと簡単にいうと、消費者が、↓
- 欲しいものを、
- 欲しい量で、
- 欲しい値段で、
- 欲しい時に、
提供するのがマーチャンダイジングといえます。簡単そうですが、実践するのは難しいものです。
辞書の定義…「マーケティング戦略」と同じ意味
上の説明を読んで「要はマーケティングでは?」と思った人もいるでしょう。まさにその通りで、辞書によっては「マーケティング戦略」という一語で定義しています。
マーケティング戦略。価格や販売形態を決定する際のプロセスのこと。市場調査に基づく合理的な販売促進策。
コトバンク「マーチャンダイジング」
太字以外の部分を、細かく説明すると「適切な量・価格・タイミングで~」となります。
日本語…商品政策・商品化計画など
マーチャンダイジングを日本語で表現すると、商品政策・商品化計画などとなります。それぞれの違いは、主に下のとおりです。
商品政策 | 商品自体はもう完成している。販売数などをコントロールするだけ |
商品化計画 | そもそも、商品開発自体から行う |
「商品化」の方については「それは開発であって、マーケティングではないのでは?」と思うかもしれません。しかし、マーケティングとは「消費者を騙して売る」ことではありません。「いいものを作って自然に売れる」のが理想なのです。
そのため、本来は「開発とマーケティングは一緒のもの」なのです。
具体的内容…5つのステップや、3種類のMDを実践する
具体的な内容は、まずマーチャンダイジングサイクルと呼ばれる手順を繰り返します。以下の5つの手順(ステップ)です。
- 商品計画
- 仕入計画
- 在庫管理
- 販売計画
- 販売分析
そして、MDには主なジャンルとして、下の3種類があります。この中で自社の事業に合うものがあれば、それを意識して実践します。
ビジュアル・マーチャンダイジング | 視覚に訴える |
---|---|
ライフスタイル・マーチャンダイジング | ライフスタイルに訴える |
クロス・マーチャンダイジング | 関連ジャンルに訴える(合わせ売り) |
これらの詳細は「マーチャンダイジングの種類」の段落で詳しく解説します。
小売でマーチャンダイジングが必要とされる3つの理由
マーチャンダイジングは、もともと小売業界を中心に発達した考え方です。小売でマーチャンダイジングが必要とされる理由、今あらためて注目されている理由は、下の3点です。
これらは小売業界以外でも共通する、あるいは「ヒントになる」部分がある内容です。それぞれ詳しく説明します。
消費者との接点である(情報が入る)
マーチャンダイジングでは「分析・改善・実行」を繰り返します。この3ステップのどれも、現場の小売業が一番やりやすいのです。
分析については「客観的に数字として見る」のであれば、コンサルタントの方が「岡目八目」で見える現象もあるでしょう。しかし「現場にいるからわかる」ことも当然あります。
そのどちらが強いかはケースバイケースです。しかし「現場に多くの情報がある」ことは確かです。そのため、現場の仕事が多い小売業で、マーチャンダイジングが自然に発達したといえます。
ロスを最小化するための基本である
マーチャンダイジングでやることは、いい意味で「当たり前」です。売るもの・時期・数量など「お客さんに合わせる」というのは、商売の基本といえます。
小売業は「在庫」という形でロスがはっきり目に見えます。そのため、ロスを最小化するためのマーチャンダイジングが、やはり自然に生まれたのです。
江戸時代の「御用聞き」
この「お客さんに合わせる」という発想は、現代でも「御用聞き」という言葉で表現されることが多くあります。この言葉は、江戸時代にはすでに確立していたものです。
意味は複数ありますが、商売に関しては「米屋、酒屋などが得意先の注文を聞いて回る」ことを意味しました。これを行うと、自然と「売る物・数・時期」が、得意先にぴったりのものになったわけです。
いわば「プッシュ型のマーチャンダイジング」だったといえるでしょう(待つタイプのものは「プル型」です)。プッシュする手間はかかるものの、それぞれの得意先に対して「ロスが一切ない販売計画」を立てていたわけです。
「マーチャンダイジングとは何か、5文字で答えよ」と言われたら、江戸時代の商人は「ごようきき」と答えたかもしれませんね。
ITと融合することで、今までできなかったMDが実現している
マーチャンダイジング自体は、このように古くからありました。しかし、今あらためて注目されている理由があります。それが「ITとの融合」です。
ITと融合してマーチャンダイジングが変わった点をまとめると、下のとおりです。
- データの収集・検証がしやすくなった
- IT機器自体が増えた(タブレットなど)
- 顧客のITスキルも上がった
特に「ここ5年で大きく変わった」のは最後の「顧客のITスキル」です。
具体例…飲食店の注文用タブレット
近年は「お客さんがタブレットを操作して、自分で料理を注文する」という飲食店が増えました。これは「お客さんがPOSを操作する」ようなものです。
昔から、飲食店ではホールのスタッフさんが「ハンディ」を使っていました。しかし、これはお客さんが操作してもよかったわけですね。
今まで、なぜそれをできなかったか
ハンディは「ボタンしかない」機器です。そのため、お客さんではメニューがわかりません。スタッフさんでも最初は苦労しますし、慣れた後もしばしば間違えるものです。
これに対して、タブレットは「メニューの写真」が出ます。そのため、お客さんがそのまま注文しやすいのです。
お客さんが「タブレット操作をわかる」から実現したアイディア
このアイディアの実現には、もちろん「タブレットの発明」が必要でした。しかし、それだけでは足りません。「お客さん全員がその操作を知っていて」初めて導入できるのです。
AppleがiPadを発明して世に出したのは2010年です。それから10年経ち、ようやく「ほとんどの人がタブレットの操作をわかる」ようになったわけですね。
かなりのタイムラグですが、今ようやく「IT端末を活かしたマーチャンダイジング」を、現場に導入しやすくなったのです。
マーチャンダイジング・5つの適正とは
マーチャンダイジングには「5つの適正」と呼ばれる指標があります。下記の5点を「すべて正しくしよう」ということです(もちろん、優先順位もつけます)。
以下、それぞれの「適正」について解説していきます。
場所…どこで売るか
まず「販売のチャネル」を決めます。具体的には下のようなものです。
- 実店舗
- ネット通販
- カタログ通販
- 訪問販売
- 露天商
他にも多くのスタイルがありますが、主なものは上記のとおりです。
チャネルの中から、さらに絞り込む
たとえばチャネルが「ネット通販」なら、以下のようなサービスから絞り込みます。
- Amazon
- 楽天
- Yahoo!
- メルカリ(主に中古系)
そして、その絞り込みの条件は以下のようなものです。
- 手数料の安さ
- ユーザー層
- ユーザー数
他にも「ブランディング」などもあります。たとえば、とある大手アパレル通販のプラットフォームが恒常的な値下げキャンペーンを打ち出したときは、多くのブランドが撤退しました。「ブランド価値を安く見られる」ことを危惧したのが理由の1つとされます。
このようにあらゆる要素を加味して「売る場所」を決めます。
時期…いつ売るか
時期については、例えば以下のようなことを考えます。
- 年間を通して売るのか
- 特定の時期に売るのか
- 特定の時期なら、いつに限定するのか
- 延長はするのか
これによって仕入れや商品開発の計画が大きく変わるため「時期」も非常に重要なのです。
価格…いくらで売るか
マーケティング用語では値付け(プライシング)とも呼ばれます。主に以下のことを考えます。
- 定価をいくらにするか
- 割引をどこまでするか
割引については、ご存知のとおり「いつも割り引いている」商品が多いものです。その「事実上の定価」も含めて考えます。逆に「本当に出血大サービスをする」ときは、どこまで割り引けるかという限界も決めておきます。
数量…どれだけ売るか
「薄利多売」は、小売の代表的な戦略の1つです。このように「戦略自体を決める」くらい、数量は重要な要素です
- 大量に売れば安くなる
- しかし、在庫リスクも上がる
- このバランスをどう取るか
などの点を考えます。また、大量に売ることで「ブランド価値が下がる」ということもあります。
- ブランド価値を下げてでもたくさん売るか
- あえて規模を小さくして、ブランド価値を上げるか
という2択が基本になります。しかし、ここで「両立」に成功したブランドがあり、それがユニクロ・無印良品などです。これは後述するライフスタイル・マーチャンダイジングにもつながります。
商品やサービス…何を売るか
これはそもそも一番重要な部分です。ただ、これ自体のヒントが「他の4つの適正」の中から見つかることが多くあります。
というのは、消費者が「何を、どれだけ、いくらで欲するか」という情報、それ自体が商品開発のヒントになるためです。
マーチャンダイジングサイクル・5つのステップ
マーチャンダイジングのサイクルは、以下の5つのステップで成り立ちます。
このステップを繰り返しながら改善を続けるのがマーチャンダイジングです。以下、それぞれのステップについて説明します。
商品計画
これは、商品の開発やサービスのアイディア出しなど、根本的な部分です。先ほどの5つの適正の最後「何を売るか」です。
仕入計画
仕入れる数量や時期を決定します。これもやはり「商品計画ありき」です。安く大量に売る商品なのか、高値で少数を売る商品なのかによって、仕入れ計画も変わるためです。
近年はITの進化で、この計画をリアルタイムで分析・修正しやすくなっています。
在庫管理
在庫管理の業務は、主に下の2つに分かれます。「全体の管理」と「個別の商品の管理」です。
全体管理 | 全体の数量や倉庫内配置など |
---|---|
単品管理 | 個別のアイテムに合わせた管理(湿度・温度などを考慮) |
全体管理はマネージャーの仕事、単品管理は現場スタッフの仕事と考えるとわかりやすいでしょう(もちろん、それぞれ相手の業務をサポートすることはあります)。
販売活動
実際の販売です。実作業としては、以下のようなことを行います。
- 陳列
- POP作成
- 照明演出
- 什器手配
主に「見た目」に関する内容が多くなりますが、マーチャンダイジングで「見た目」は特に重要なものです。これは「ビジュアル・マーチャンダイジング」という1つのジャンルがあることでもわかります。
販売活動はまた、このような実作業だけでなく「その時々の短期の計画」も立てます。たとえば「今日の目標」が一番わかりやすいものです。
その他の作業では、広告宣伝やイベント開催なども販売活動のステップに含まれます。
販売分析
ここまでの流れをすべて分析します。そして改善すべき部分を考え、同じ流れでもう一度サイクルを実行します。
そしてまた分析し、改善し…という流れを繰り返します。いわゆる「PDSサイクル」と同じです(Plan・Do・See)。
マーチャンダイジングの種類とは?3つの内容・違い
マーチャンダイジングには、主な種類が3つあります。一覧にすると以下のとおりです。
ここでは、それぞれの内容・違いを解説します。
ビジュアル・マーチャンダイジング
ビジュアル・マーチャンダイジングとは「視覚に関するマーチャンダイジング」です。もともと、マーチャンダイジングは「流通の管理・工夫」のことです。
その「管理・工夫」の中でも「視覚に関する内容」が、ビジュアル・マーチャンダイジングと呼ばれます。具体的には以下のような業務を行います。
- POPの作成
- 商品のディスプレイ
- Webサイト・ネットショップのデザイン
ここで気になるのは「なぜビジュアルだけ、1つのジャンルとして成立しているのか」という点でしょう。この理由を説明します。
マーチャンダイジングで視覚に訴えることが必要な理由
マーチャンダイジングでは「消費者の反応」を検証します。その検証のために「反応」を得ることが必要です。
そして、その反応は「視覚に訴える」ことで得やすくなります。人間は情報の約8割を視覚で処理するためです。
視覚情報で反応を得る具体例
たとえば、販売のメインの方針を「地域最安値」と決めたとします。その場合、顧客がそれを「求めているか」の確認が必要です。
確認するには「実際にやる」のが一番です。しかし「やるだけ」では足りません。「やっていることを消費者に伝える」必要があります。
なぜ消費者に伝えることが必須なのか
これは「伝えていなければ、成功か失敗かわからない」ためです(まるで恋愛の告白のようですが…)。
売上のデータ上は失敗に見えても、消費者が「本当は求めていた」可能性があります。「もっとわかりやすく教えてくれればよかったのに!」ということです。
そのため「やるだけ」では足りないのです。「やって・伝える」必要があります。その伝える行為に、ビジュアルは一番効果的なのです。
国家資格もあり、一つの職域として確立している
ビジュアル・マーチャンダイジングには「商品装飾展示技能士」という資格があります。これは、厚生労働省が主催する国家資格で、1級から3級まであります。
こうした国家資格があるということは「一つの職業・職域として国が認めている」ということです。こうした事実を見ても、ビジュアル・マーチャンダイジングの重要性を実感できるでしょう。
補足…ビジュアル・マーチャンダイジングの略称
ビジュアル・マーチャンダイジングは、日本では「VMD」と略されます(Visual Merchan Dising)。そして、発祥の地のアメリカでは「VM」と略されます(merchandiseは本来一語のため)。
参考VMDとは(一般財団法人・日本ビジュアルマーチャンダイジング協会)
参考Wikipedia「商品装飾展示技能士」
ライフスタイル・マーチャンダイジング
ライフスタイル・マーチャンダイジングは、顧客のライフスタイルに注目したマーチャンダイジングです。なぜライフスタイルに注目するのか、理由を説明します。
まず、MDは「消費者が欲しいもの」を常に考えます。この「欲しいもの」は、偶然生まれるわけではありません。
必ず背後に「消費者の人生」があるわけです。それなら「そこに合わせて商品開発をすればいいのでは?」という発想です。
これは、開発の段階だけではありません。売る段階でも「ライフスタイルに訴えるような売り方をすべきでは?」と考えます。このような考え方や手法が、ライフスタイル・マーチャンダイジングです。
参考【PDF】生活様式の変化とい住まいのマーチャンダイジング(一般財団法人・住宅生産振興財団)
「無印良品」の例
無印良品は、ライフスタイル・マーチャンダイジングに最も成功した例の一つです。現在では「無印=ライフスタイル」として確立しています。「無印で揃える生活」=「無駄がない・エコ・おしゃれ」というイメージです。
しかし、元々「ライフスタイル全体」まで及んでいたわけではありません。無印は「わけあって、安い」をキャッチフレーズとし、訳アリ品の販売からスタートしたのです。具体的には「形の悪い干し椎茸」などの商品です。
同じような方向性で、ユニクロも「無駄のないライフスタイル」のアピールに成功したといえるでしょう。
真逆の例…ハーレー・ダビッドソン
無印良品やユニクロとは真逆の方向で、バイクのハーレー・ダビッドソンも、ライフスタイルに訴えて成功しています。「ムダを愛する男の生き様」というライフスタイルです(これは車のハマーなども同じです)。
ハーレーは燃費も悪く、場所をとり、運転の修得は大変と、実用性に関してはマイナス要素ばかりです。「それでも好きだから乗る」というファンが多いため、根強いブランドとなっています。
このような「ファンの生き様」に響くものを送り続けることが、ハーレーのようなブランドに必要とされる「ライフスタイル・マーチャンダイジング」といえます。
クロス・マーチャンダイジング
クロス・マーチャンダイジングは、わかりやすくいうと「合わせ売り」です。たとえば、肉売り場に売られている「焼き肉のタレ」がわかりやすいでしょう。
焼き肉のタレのジャンルは「調味料」です。しかし「精肉」と関連があるため、別ジャンルでも合わせて売れます。
これは「子どもでも分かる普通のこと」のように思えるでしょう。なぜこれがマーチャンダイジングの中の一ジャンルになるのか、説明します。
「消費者が欲するもの」につながる
MDの本質は「消費者が欲するもの」を届けることです。そして、消費者がお肉を買うとき「肉を生で食べる」わけではありません。
焼くために「フライパン・油」が必要で、味つけに「タレ・塩」なども必要なのです。そして、ここから発展させると、以下のように、より本質的なビジネスに繋がります。
- 消費者は、今のフライパンに満足しているのか?
- 油や調味料にも、満足しているのか?
- いい商品を探して、合わせて紹介すればいいのでは?
- その商品がなければ、自社で開発すればいいのでは?
このように「本当に理想の焼き肉を楽しんで欲しい」と願う場合、周辺の商品を「自社で開発」してしまってもいいわけです。たとえば、Amazonはあの規模のサービスを支えられるサーバーがなかったため、自社で開発しました。
そして、今ではAWSという、世界最大規模のサーバーサービスとなっています。サーバーの分野でも、Amazonは世界のトップ企業になっているのです。
「普通の合わせ売り」にも意味がある
もちろん、ここまでの例のように「新しい提案」がなくてもかまいません。「いつもの」しか求めていない消費者も多いためです。
そのような消費者の場合「買い忘れはありませんか?」などのアピールが有効です。実際、この文言はネット通販でも店頭POPでも、しばしば見られます。
本当に消費者が忘れていることもあり、その場合は消費者の時間ロスを防げるため、良い売り方です。反面、やりすぎると「くどい」と思われるリスクもあります。
合わせ売りで「くどい」と思われるリスクがある代表例は、飲食店の「フードの合わせ売り」です。「ご一緒にフードはいかがですか?」とおすすめするのは、上手くやればお客さんとの良いコミュニケーションになります。しかし、人によっては抵抗を感じることもあるため、勧め方を工夫する必要があります。
アパレル業界のマーチャンダイジング・他業界との3つの違い
マーチャンダイジング自体がもともと「商売の基本」です。そのため、アパレルのマーチャンダイジングも、いい意味で「他業界とおおむね同じ」といえます。
しかし「アパレル業界ならでは」の特徴もあります。以下の3つのものです。
以下、それぞれの特徴について詳しく解説していきます。
トレンドがランダム
トレンドはどの業界でもありますが、アパレル業界は特にランダムです。例として「建築のトレンド」と比較してみましょう。
建築のトレンドには、ある程度「合理的な理由」があります。
- 日本人の平均的な家族構成
- 地価変動
- 大きな災害の発生
これらの社会的な要因によって、トレンドの流れを予想しやすいわけです。逆にいうと「今年と去年でトレンドが違う」ということが少ないのです。
(震災の翌年などはトレンドが変わるでしょうが、その耐震トレンドが5年ほどは続きます)
アパレルの場合
これがアパレルの場合、「去年流行った服」がまったく売れないことがしばしばあります。そして「今年流行る服」も完全には予想できないものです。
一応、ファッション誌やメディアがある程度「仕掛けて」はいます。しかし、読者や視聴者が「どこまで乗ってくれるか」はわからないのです。
気候の影響を受ける
気候の影響をもっとも受ける業界は、農業・漁業・観光業などです。これらに比べれば、もちろんアパレルの影響は小さいでしょう。
しかし、小売の中では影響が大きい分野です。たとえば、同じ小売の「家電」と比べてみましょう。
家電の場合、PCやテレビは気候の影響を受けません。扇風機などは受けますが「約半分の商品は関係ない」わけです。
一方、アパレルは「ほぼすべての商品が、気候に関わる」ものです。もともと、服は体温調節の役割を持つものだからです。
特にコートなどの防寒系は、影響が大きくなります。また、冷夏の影響で「大量に製造したタンクトップが売れ残る」ということもあります。
参考アパレル(衣料品販売)分野における気候リスク評価の実例:気温と売り上げの関係は?(気象庁)
アパレル専用のクラウド・POSが登場している
冒頭で紹介した「アパレル管理自動くん」のように、アパレル専用のクラウドやPOSのサービスも登場しています。マーチャンダイジングでこれらを使う場合、自然と「アパレル独自」の手法になります。
「アパレル専用」のサービスのメリット
まず、マーチャンダイジングは「データの集計」が1つの要になります。そして、データの集計には「項目」があります。
この項目は、業界によって異なるものです。「全業界共通」のPOSやクラウドは、その項目を「自分で入力」しなければならないのです。
しかし、アパレル専用なら「アパレルで必要な項目」が最初から入っています。そのため、機械に弱くても導入しやすいのです。また、オーナーさんだけでなく、スタッフさんも修得しやすいのがメリットです。
まとめ:マーチャンダイジングではデータ収集を効率的に行う手法が重要
まとめると、マーチャンダイジングは辞書の定義どおり「マーケティング戦略」の一言といえます。発想自体は簡単で、あとは要となるデータ収集をいかに効率的に行うかという手法が重要となります。
そして、その手法では自ずとクラウドやPOSのサービスが役立つものです。特に上で説明したとおり「アパレル特化型」のものは、導入もしやすく、最初に使うサービスとして最適といえるでしょう。
そのようなアパレル特化型のサービスでは、文中でも紹介してきた「アパレル管理自動くん」が特におすすめです。アパレル管理自動くんの特徴や機能の詳細については、下のボタンからぜひ公式サイトをご覧ください。
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