(出典:fril.jp)
急成長を続ける「メルカリ」を筆頭に、昨今話題沸騰中のフリマアプリ。EC市場全体を見渡しても、フリマアプリに代表されるCtoCサービスの台頭は顕著であり、その存在感は日増しに高まっています。
そんな中、2018年2月にこれまでメルカリの後塵を拝していた「ラクマ」と「フリル」が統合し、新たなスタートを切りました。統合の狙いは何か、そしてCtoCマーケットはこれからどのように変化していくのか。フリマアプリの今後を占います。
守備範囲の異なる2つのアプリのプラットフォームを融合
(出典:fril.jp)
「フリル」は日本で初めてリリースされたフリマアプリで、ファッションやコスメなどの取引を中心に、主に10代~20代女性の支持を集めていました。
一方「ラクマ」は後発ながらも、楽天が保有する会員データやノウハウを活用してシェアを拡大、エンタメやホビーを筆頭にメンズやキッズアイテムなどの取引で活況を呈していました。
それぞれに属性の違うユーザーを抱え、守備範囲も異なる両者。それをひとつのプラットフォームに統合し、シナジーを生み出すことで、成長を加速させる狙いがあるようです。
メルカリ追撃態勢へ
(出典:fril.jp)
「フリル」はもともと株式会社Fablicが運営をおこなっていましたが、2016年9月に楽天株式会社が買収し、完全子会社化しました。そして2018年7月1日には吸収合併が発表され、現在に至っています。
買収時すでに「ラクマ」の運営を開始していた楽天は、この時から将来的な統合を視野に入れていたと考えられます。当時「ラクマ」のユーザーは30代以上がメインで、「フリル」は10代~20代。
不足しているユーザー層を相互に補完し、また会員数約9,300万の顧客基盤を有する楽天グループとの連携を強化することにより、トップを走る「メルカリ」の追撃態勢を整える意図があったことは、想像に難くありません。
「どんな商品でも」「どんな方でも」売りやすく買いやすいマーケットを創出し、新たなユーザーを囲い込み、フリマアプリ業界No.1を目指すこと。それは数年前から綿密に練られたプランであり、「ラクマ」と「フリル」の統合はその基盤づくりの一環なのです。
ラクマはメルカリのライバルとなり得るか
(出典:fril.jp)
「メルカリ」の2018年6月期連結業績における年間流通総額は、前期比48.1%増の3704億円。これは「ZOZOTOWN」などを運営する株式会社ZOZO(旧:スタートトゥデイ)の流通総額を軽く凌駕する額であり、CtoCマーケットにおける一大牙城を築いています。一方「ラクマ」の年間流通総額は1400億円といわれており、そこには歴然とした差が存在しています。
しかし不利な要素ばかりではありません。「ラクマ」の強みは、なんといっても手数料の安さ。もともと「ラクマ」「フリル」の両サービスともに、販売手数料0円が売りでした。2018年6月より商品価格の3.5%に改定されましたが、メルカリの10%と比較すると、ユーザーに圧倒的なお得感を感じさせます。
また「ラクマ」で取引をする際に、楽天ポイントが貯まる・使えるというのも、楽天会員にとっては魅力的な要素のひとつです。楽天ペイや楽天銀行との連携も図られており、楽天が保有する幅広いサービスネットワークが、利便性の向上に大きく貢献しています。
さらに直近のレポートでは、米や野菜などの農産物取引が「ラクマ」で急速に拡大しているようです。不用品の売買だけでなく、生産者と消費者がダイレクトに取引する場としての需要を喚起するなど、新たなマーケットの開拓にも注力していることが伺えます。
まとめ
フリマアプリ市場を席巻する「メルカリ」と、追撃態勢を整えた「ラクマ」。大きく水をあけられているのが現状ですが、急激な拡大を続けるCtoCマーケットは、ちょっとしたきっかけで勢力図が大きく変わる可能性も秘めています。
いずれにしても「メルカリ」と「ラクマ」がこれからのマーケットをリードしていくであろうことは間違いないでしょう。豊富なリソースとノウハウを保有する楽天がどのような施策を打ち出すか。またスタートアップ企業の雄であるメルカリがどう迎え撃つか。今後の動向に注目が集まります。
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