アパレル小売店で必ず行うレジ作業。それぞれの店舗に対して、適したレジが存在します。適したレジを見つけたとしてもレジ自体の寿命にも作業効率は左右されるでしょう。
現在使用しているレジを利用する中で、
- システムや機能に不便に感じることがある。
- 長年使う中でレジが劣化し会計作業に時間が掛かるようになった。
- レジの替え時がわからない
など悩みのある方がいるかと思います。
今回はそのような方に向けて、
までご紹介いたします。この記事を読めばレジに関する疑問点や解決方法、店にあった運用方法や替え時がすべてわかります。レジに関するノウハウもバッチリ網羅できるでしょう。
目次
レジの替え時、知ってますか?
主に5〜8年程度と言われているレジの耐用年数ですが、それを待たずに一刻も早くレジを替えたいということは多くあるでしょう。
目的に応じてレジの替え時はさまざまありますが、まずはどんなレジがあり、どんな場所でどんな使い方がされているのか実例も交えて問題の全体像を把握しましょう。さらに自店舗に合ったレジ選びとはなにか、レジを替えることでどんなメリットやデメリットがあるのかを知り、適切な答えを導き出すことができるようになれば「レジの替え時」について熟知したと言えるのではないでしょうか。
レジの種類
一概にレジと言ってもさまざまな種類があります。この項目では現在主流になっているレジの種類と各レジのメリット、デメリットを簡単に説明します。
業務用レジスター
業務用レジスター(ガチャレジ)はスーパーや飲食店でよく見かける一般的なレジの事を差します。商品のバーコードをスキャンし金額が入力されたら部門キーと商品数を押す、すべての商品をスキャンし終えたらお客様に支払いをしてもらいクロージング、といった日常生活でよく見る光景で思い浮かべるレジはだいたいコレと言っていいでしょう。非常にシンプルな操作感で誰でも容易に使用できます。
最近では大型のスーパーや大手のコンビニでは大型のシステムレジが導入されることが多くなりました。このことにより、よりその企業や小売店に特化した業務レジスターが登場し人気を博してます。しかし導入するためには多くのコストとレジ導入によるスタッフの再育成が必要になります。
業務用レジスターの具体的なメリット |
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業務用レジスターのデメリット |
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簡易レジスター
簡易レジスターは業務用レジスターをさらにコンパクトにしたレジです。シンプルな操作や扱いが容易なことはそのままに、コンパクトになったことで坪数の少ない店舗や扱っている商品が少ない店舗では重宝します。また、少規模店舗では1人に割当てられる作業量や役割が多くなりがちなのでレジ操作で時間を取られなくなることは大きなメリットです。
ただ、掛けるコストによっては必要最低限の機能しかない場合が多いため、売上データを集計するPCや在庫管理するための端末など周辺機器の環境を整える必要があります。
簡易レジスターの具体的なメリット |
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簡易レジスターの具体的なデメリット |
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タブレットレジ
最近増えてきたタブレットレジはiPad端末などにレジ機能を搭載したレジです。無線LANでネットに接続して使用できるため持ち運びが楽で場所を選びません。さらに見やすいUIや直感的な操作が可能なためレジ操作に不慣れなスタッフでも簡単に操作できます。また、アプリケーションによってはお客様が操作するタイプも存在し、無人レジとしても使用可能です。
直感的な操作や場所を選ばない利便性でさまざまな業態で使用できるため非常に手軽な反面、初期導入に関してはITリテラシーがあるスタッフの有無やアプリケーション開発のサポートが必要になり時間が掛かる場合が多いです。さらに、通信障害の影響を受けやすく、その場合の対処方法を事前に対策しておく必要もあります。
タブレットレジの具体的なメリット |
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タブレットレジの具体的なデメリット |
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POSレジ
一言でPOSレジと言ってもピンと来ない方のため、この項目では主に、今まで説明してきたレジにPOSシステムを搭載したレジを紹介します。POSシステムとは「Point of Sales」の各頭文字を取った略語で、日本語だと「販売時点情報管理」といいます。商品販売時に商品名、金額、顧客情報、数量などがデータベースに反映され、売上分析や販売戦略に役立てることができます。
商品管理や顧客管理、売上戦略のデータが取りやすい反面、やはりシステムの構築にそれなりのコストが掛かります。導入時には商品の情報を登録する必要があり時間が掛かります。また、目的に合わせた機能が備わっていないとせっかくコストと時間を掛けたのに無駄になってしまうのでその点を注意しましょう。
POSレジの具体的なメリット |
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POSレジの具体的なデメリット |
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こちらの記事では詳しいPOSレジの選び方も紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
【レジ買い替え】3つのタイミング
レジの種類を説明してきましたが、では実際にレジの替え時はどんな時があるのか、さまざまなケースを紹介します。
レジまたは周辺機器の調子が悪い(ハードの部分)
POSレジにはレジ本体の他にいろいろと周辺機器があります。例えばバーコードリーダーは読み取りが悪かったりすると、通常業務に支障が出て来ます。クレジットカードの決済端末も、古くなってくると認証しないことも増えてきます。全てが連動していますので、どれか1つが調子悪くなったら、替えるタイミングといってもいいでしょう。
サポート期間の終了やリース契約の満了
POSレジには本体に保証期間があるものが多いです。保証期間はおよそ1年程度。その後、POSレジの保守期間が4〜5年程度あります。このサポート期間が切れたら、レジの替えどきです。また、POSレジをリースしている場合、契約が切れる時がレジを替えるタイミングです。
いつ頃リース期間が終わるか把握しておくと同時に、リース期間の終了間際に慌てないように、早めに新しいレジの比較検討を行いましょう。
より高度な分析を行いたい
現状のレジではデータ分析が物足りない場合、高性能のPOSレジを導入することで業務スピードがUPすることもあります。その結果、業務拡大に一役買ってくれることもあります。さらに事業を発展させたい場合は、最新のレジ機能もチェックしておきましょう。現在POSレジではないものを使用している場合、売上分析がしにくいのがデメリットです。
時間帯別売上、顧客属性、商品の売れ行き(部門・属性・アイテム別)など、現在このような売上分析を行なっていない場合はぜひ最新のレジを検討してみましょう。
こちらの記事で法的、機能的なPOSレジの寿命について解説しています。こちらも併せてご覧ください。
【新レジ導入】意識すべき4ポイント
新しいレジに替える時に注意するポイントを紹介します。この項目の内容を事前に抑えておき、替える際の参考や替えたあとの対策を講じましょう。
新しいレジに換える際に確認すべき部分とチェックするポイントとしては、以下になります。
クレジットカードなどの決済契約 | ・クレジット決済に対応しているレジかどうか ・契約しているカード会社の種類 |
自社基幹システムとの連携 | ・自社基幹システムと連携可能か ・メーカーや自社で対応できるか |
通信回線の環境 | ・通信環境は良好か ・「もしも」の場合対応策はあるか |
旧レジのバックアップ | ・バックアップの管理方法は適切か ・ファイルの種類は適切か |
クレジットカードなどの決済契約
せっかく新たにPOSレジを導入しても、クレジットカード決済端末がないために別途契約をしなければならないなど利用できないケースをよく耳にします。クレジットカードの利用者は多いので、検討しているレジが対応しているかどうか、きちんと把握しておきましょう。近年ではインバウンド需要も高まってきています。特に中国からの旅行者がどんどん増えてきているので主要カード会社だけではなく、銀聯(ぎんれん)カードも決済できるほうがベターです。
チェックするポイントとしては以下になります。
- クレジット決済に対応しているレジかどうか
- 契約しているカード会社の種類
自社基幹システムとの連携
本部の基幹システムと連動ができるかどうかも事前に確認しておきましょう。場合によっては既存の基幹システムを新規のものにリニューアルする必要も出てくるかもしれません。実際に替える前に商品ページを熟読し、ソフトウェア関連がどこまで互換性があるかチェックしましょう。知識に詳しくない場合はメーカーに直接問い合わせてみたり、社内のソフトウェアを扱う部署に仕様確認をしてみるのも手です。
チェックするポイントとしては以下になります。
- 自社基幹システムと連携可能か
- メーカーや自社で対応できるか
通信回線の環境
今までのレジではインターネット環境は良好だったものの、新たに変えたレジでは通信環境が不安定になってしまったというパターンもあります。また、決済方法が多様化する中、電子マネー決済での通信が電話回線を使用している場合は決済スピードが落ちる原因となるので注意です。ハード面、ソフト面のチェックやケアも必要ですが、もしもの場合に備えてトラブルシューティングガイドをレジを扱うスタッフ全員で共有しておくほうが問題解決までスムーズに進みます。
チェックするポイントとしては以下になります。
- 通信環境は良好か
- 「もしも」の場合対応策はあるか
旧レジのバックアップ
POSレジを変える際にデータ引き継ぎができないこともあります。売上の記録や在庫のデータなど、レジを変える際にはあらかじめバックアップを取るなり、クラウド上で保存するなりして、管理しておく必要があります。社外秘のデータも多く含まれる場合が想定されるためバックアップデータの管理方法、場所は予め相談しておきましょう。また、バックアップを取る際のファイルの種類はレジメーカー、社内のソフトウェアを扱う担当部署に事前に確認を取っておきましょう。
チェックするポイントとしては以下になります。
- バックアップの管理方法は適切か
- ファイルの種類は適切か
【出店形態別】レジの特徴
ここでは多くのアパレル小売店が出店形態別で導入しているレジの種類について大まかな特徴を紹介していきます。参考に見ていただけると幸いです。
出店形態と主な使用レジについては以下になります。
百貨店、ファッションビル店舗 | 自社のシステムレジと館貸し出しのPOSレジ |
坪数の多い路面店 | 自社のシステムレジ |
坪数の少ない路面店 | 簡易レジやタブレットレジ |
アウトレット店舗 | 百貨店やファッションビルと似た傾向だが館貸し出しのPOSレジが多め |
百貨店、ファッションビル店舗の場合
百貨店やファッションビル店舗の場合は館側から貸し出されるPOSレジのケースとブランド側が用意するシステムレジのケースが多いです。館から貸し出されるレジの場合、売上入金を毎日締め作業後に一度館側にすべて預けるケースがほとんどです。ですので、売上報告に特化したタイプのPOSレジが使用されています。ブランド側が用意するシステムレジ(通称自社レジ)の場合、締め作業や館側に提出する売上報告は基本同じですが館のルールに沿った報告をしなくてはいけないため出店する館によって売上報告の項目や方法が変わってきます。
坪数の多い路面店の場合
坪数の多い路面店の場合、1日の入店客数が多いため使用されているレジは自社のシステムレジのケースがほとんどです。ブランドの属性によって多少変動しますが基本的にレジ専門のスタッフがおり、接客したスタッフがそれぞれレジまで担当するというわけではなく、クロージングはほとんどその専門スタッフに任されるケースが多いです。ブランドによってレジ担当になるスタッフは日によって変わったりしますが、やはり専門スタッフがいることでレジの操作に長けているため、クロージングの速さや精度は一定以上の水準を保つことができます。また自社レジを使用しているため、他店舗に移動やヘルプに行った際でも問題なくすぐ対応できることが強みになります。
坪数の少ない路面店の場合
坪数の少ない路面店の場合使用されるレジは簡易レジかタブレットレジが多いです。スタッフが少人数の店舗が多く、接客から事務作業などほとんどの作業を兼任しなくてはいけないためレジの操作の簡略化やレジを置く場所の省スペース化が目的で採用されてるケースが多い傾向が見受けられます。特に近年では無人の古着屋が新しくオープンしたり、ネット通販が主流の企業がアンテナショップを出店したりなどさまざまな形態で路面店舗を展開するケースが多くなってきているため直感的で誰でも操作でき、コンパクトなタブレットレジを採用するがケースが多くなってきた印象です。
アウトレット店舗の場合
アウトレット店舗の場合は百貨店やファッションビルと似た傾向ですが1日の購入客数が多いためブランド独自の自社レジよりも館から貸し出されるPOSレジを使用する場合が多いです。とにかく保有在庫数が多く、プロパー店舗とは明らかに入店からクロージングまでの流れが違います。ですので、レジ回転率を重視するので専門スタッフを置きレジ作業に集中させるケースが多いです。また、館のイベントが行われる際にOFF率をレジと連動させやすい館のレジを採用する理由のひとつとなります。
【アパレル】POSレジの導入方法とレジに関連する用語
出店形態別で見るレジ導入形態を踏まえたうえで、実際にアパレル業態のPOSレジ導入方法を紹介します。さらにアパレル業態で使われているレジに関連する用語も併せて紹介します。
新規出店の場合
新規出店の場合、自店舗の目的に合った機能を備えたPOSレジを選択することが大事です。機能のチェックだけではなく、実際に使用するスタッフが問題なく運用できるかも大事なポイントになります。またリースにしても買い上げにしても有事の際には、サポート体制がしっかりと整った企業と契約することが望ましいでしょう。
既存店舗の場合
既存店舗の場合、新規出店時と選ぶ際のポイントはほとんど変わりませんが注意したいのは以下の3点になります。
- 自社基幹システムとスムーズに連動
- 導入するための時間
- スタッフのレジ業務の再教育
上記の点は例に過ぎないため、実際に導入するとなると様々な注意点が出てくるでしょう。すでに営業をスタートした状態での導入になるためできるだけスムーズに移行できるPOSレジを選択したいところですね。
アパレル業態で使われるレジに関連する用語
キャッシャー | いわゆるレジやレジ作業そのもののことを差す、ブランドや企業によってはレジという単語を使用せずこちらを使用するケースがある |
カルトン | レジ業務で現金やカードの受け渡しをする際に使用する小さなトレー |
プロパー | 言葉の意味は「適切な」「本来」といった意味、アパレル業界におけるプロパーは値引きされていない定価商品を差す |
キャリー | 言葉の意味は「運ぶ」「積む」といった意味、アパレル業界におけるキャリーは今シーズンではない前シーズン以前のアイテムのことを差す |
マークダウン | マークダウンは値下げするという意味、セールとの違いはマークダウンは「値下げする」のような「行動」を差し、セールは「値下げした商品」のような「結果」を差す。お客様に対してはわかりやすい「セール」を使用し、社内のやりとりでは「マークダウン」を使用するケースもある |
ショッパー | ショッパーはお客様が購入した商品を入れる袋のことを差す。基本的に「袋」や「紙袋」とはほぼ言わない |
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アパレル業務における快適レジ操作
当たり前のことですが1日の営業時間や就業時間内で使える時間は限りがあります。お会計時やデータ分析の際のレジ操作はできるだけ簡略化したいですよね。この項目ではそういった問題を少しでも解消できる手助けになるような方法を紹介します。
スタッフのスキルアップを図る
まず最初に思い浮かべる方法としては単純にスタッフのスキルアップを図ることではないでしょうか。よりスピーディーにレジ操作ができれば回転率が上がり、精度を高めればお金を扱うことでは絶対に避けたいヒューマンエラーを防ぐことができます。言うことは簡単ですがその方法が遠回りになっているケースが多いです。スタッフのスキルアップは最初に行うことではなく、適切な基盤ができてから行うべきことです。では「適切な基盤とはなにか」は次の項目で紹介します。
スタッフの教育に関するポイントも紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
根本的なレジのシステムを見直す
いくらスタッフのスキルアップを図ったとしても処理スピードには限りがありますし、ヒューマンエラーは必ず発生します。最初に行うべきことは根本的なシステムを見直し、直感的に操作できるようにする、エラーを極力なくすために結果までたどり着くまでの工程をシステム的に簡略化する、自動化するなどの方法が必要です。工程が少ない方がスタッフのスキルアップを図るにしても育成期間が短く済み、理解するまでの時間が減ります。まずはシステム面を改善し、その後にスタッフのスキルアップを図ることが好ましいです。
自動化できる箇所は自動化する
単純にシステム面を改善するといっても、やみくもに新しいシステムを導入するだけでは実際どこまで結果が伴うかはわかりにくいです。システム面をアップデートすることで注目したいポイントは自動化できる項目は自動化する、ではないでしょうか。顧客管理、売上管理、基幹システムへの出力など、今まで使用していたシステムでは自動化されていなかった箇所を改善することで大幅な時間ロスを減らすことができます。
こちらの記事ではPOSレジを選ぶ際のチェックポイントを詳しく紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
まとめ
いかがだったでしょうか?レジの替え時や出店業態におけるレジの種類などを説明してきましたが、やはりレジというシステムの不満を解消するためには時代に即したシステムが重要になります。少しでもこの記事が参考になり問題解決の糸口がつかめれば幸いです。
もしも、この記事が参考になりシステム面を改善したいとお考えならばアパレル特化型サービス『アパレル管理自動くん』の資料もぜひご一読ください。