業務システムは、大別するとクラウド型・オンプレミス型の2種類。この2種類のシステムについて、下のような疑問や興味を持っている人は多いでしょう。
この記事では、上記の3つの疑問に答えながら、クラウド型・オンプレミス型のシステムについて解説していきます。特にアパレル業界での事例を知りたい方には、参考にしていただけるでしょう。
目次
クラウド型・オンプレミス型のシステムの違い
まず、事例を知る前にクラウド型とオンプレミス型の意味を確認する必要があります。ここでは、それぞれの意味と違いを簡単に解説します。
クラウド型システムとは
クラウド型システムは、サーバー会社のサーバーを使うシステムです。自社でサーバーを管理する必要がなく、手間がかかりません。初期費用も抑えられ、すぐにスタートできます。
運用コストも一定の規模まではオンプレミス型より安く、現在の日本ではあらゆるサービスでクラウド型が主流になりつつあります。
オンプレミス型システムとは
オンプレミス型システムは、自社内の設備で運用するシステムです。簡単にいうと、システムを動かすサーバー用のコンピュータを、自社のビルの中に置き、ます。
クラウド型よりセキュリティが堅固で、大規模に利用する場合はコストも安くなります。また、自由なカスタマイズが可能です。
クラウド型&オンプレミス型システムの現状と考察
クラウド型とオンプレミス型のシステムについて、現状をまとめると下のとおりです。
アパレル業界の事例も含め、それぞれ解説していきます。
全体的にはクラウドが強くなっている
全体的にはオンプレミスよりクラウドが強くなっています。たとえばオンプレミスからAmazonのクラウド「AWS」に移行した大企業・大組織には下のような例があります。
アリゾナ州 / サムスン / 京セラコミュニケーションシステム / ネスレ日本 / 朝日放送 / U-NEXT / 毎日新聞社 / GMOクラウド / ドトールコーヒー / ビズリーチ / ウシオ電機 / キリンホールディングス / コープデリ生活協同組合連合会 / グリー / ソニー銀行 /
アリゾナ州やソニー銀行のような、州民や顧客の個人情報を徹底して保護する必要がある組織でも、こうしてオンプレミスからクラウドに移行しています(すべての業務ではないにせよ)。
また、毎日新聞社や朝日放送といった大手メディア、サムスンという世界的大企業、他にも日本を代表する大企業が並んでいます。特筆すべき点は、GMOクラウドという国内最大級の大企業も、他社クラウドサービスであるAWSを活用しているということです。
ここまでくると「よほど強いニーズがなければクラウドでいいのでは?」と感じる人が多いでしょう。実際、日本で基幹システムをクラウドに移行する会社は年々増えています。企業規模や導入しているサービスにもよりますが、基幹システムにおいて言えば半数に近い企業で導入が進んでいます。
参考基幹システムの次期更新でクラウド化が進行~IDC Japan調査~ | PC-Webzine
アパレル大手のクラウド移行も増えている
アパレル大手でも、下記のように各社がオンプレミスからクラウドに移行しています。
ワールド | 顧客管理システムにユニシスのクラウドを導入 |
オンワード樫山 | システムはERP、サーバーはAWSを使用 |
ワコール | セール時のサーバーダウン解消のためクラウドに移行 |
グレース | IBMクラウド(旧:IBM SoftLayer)を導入 |
それぞれの出典は社名のリンクからご覧いただけます。上記の事例に加え、先ほど紹介したAWSを活用しているアパレル企業では、下記のような会社が挙げられます。
AOKIホールディングスやZOZOテクノロジーズ、アンダーアーマーなどの大企業の名前も並んでいます。
いかにアパレル業界でクラウドシステムの導入が進んでいるかが理解できるでしょう。
先端的企業ではオンプレ回帰も見られる
先端的な企業の間では、クラウドからオンプレミスに戻る「オンプレ回帰」も見られます。たとえば「ひかりTV」を運営するNTTぷららは、2019年の時点でクラウドからオンプレミスに移行に回帰しています。
参考ひかりTVが「クラウドストレージ」をやめて「オンプレミス」に回帰した理由 | TechTarget Japan
同社がオンプレミスに戻った理由は下記の2点です。
- クラウドでは運用コストが逆に高くなった
- 運用で問題が起きたとき、原因がわからなかった
クラウドでもオンプレミスでも、サーバーとしてコンピュータを使うのは同じです。そのコンピュータが原因でバグが起きたとき、オンプレミスなら原因がわかります。
しかし、サーバー会社(ホスティング会社)のコンピュータを借りている場合、そのコンピュータを自分たちで見ることができません。バグの原因は、ホスティング会社でないとわからないのです。このような理由から「今後バグが起きない改善」を毎回徹底しようとすると、オンプレミスがベストとなるのです。
NTTぷらら以外でも、オンプレミスに回帰する企業は徐々に増えています。現象としては、大企業のECサイト構築における「脱パッケージ」「フルスクラッチ構築」に近いと言えるでしょう。
参考クラウドをやめてオンプレミス回帰する「脱クラウド」は日本で広がるのか | TechTarget Japan
双方を合わせたハイブリッドクラウドも拡大中
「クラウドかオンプレミスか」という二者択一ではなく、双方を合わせる「ハイブリッド型システム」も登場しています。NECなどの各社が提供しています。
参考オンプレミスとクラウドを融合するハイブリッドソリューション | NEC
また、あえて「ハイブリッド型」というシステムを使わずとも「ある業務はオンプレにし、ある業務はクラウドに」という区別を自社でしていれば、自然にハイブリッド型の運営になっていきます(意識していないだけですでにそうである、という企業も多いでしょう)。
アパレル業界において、クラウド型で管理される業務
現代の事務・経理・会計などのオフィス系業務は、ほぼすべてクラウドで管理できます。これはアパレル業界でも同じです。ここでは、下記の主だった3つの業務が、アパレル業界でどのようなクラウドシステムで管理されているかを解説します。
以下、それぞれ解説していきます。
商品管理
アパレルの商品管理でクラウドシステムを用いると、例えば以下のような機能を利用できます。これは弊社の『アパレル管理自動くん』の場合です。」
マスタ登録(商品) | ブランドやシーズンなど複数の分類を登録可能 |
JANコード自動採番機能 | 商品コード・カラー・サイズの決定と同時に自動採番 |
画像一括登録 | 商品登録画面に画像ファイルをドラッグ&ドロップで登録可能 |
CSV一括登録機能 | CSVを使ってのマスタデータ一括登録が可能 |
商品検索 | 各分類や商品コードの部分一致など、あらゆる条件で検索可能 |
SKU管理 | 1つの商品のカラー・サイズ展開をまとめて管理することが可能 |
上記は機能のごく一部であり、他にも豊富かつ便利な機能が揃っています。詳細は下のページをご覧いただけたらと思います。
また、SKU管理については下の記事で詳しく解説しています。
顧客管理
アパレルの顧客管理をクラウドで行う場合、たとえば以下のような機能を利用できます。これは弊社のアパレル管理自動くんの場合です。
マスタ登録(卸取引先) | メーカー・工場・納品先の登録 |
マスタ登録(卸取引先・納品先分類、掛率設定) | 卸取引先を分類するための項目登録 |
マスタ登録(小売顧客) | 消費者・会員情報の登録 |
マスタ登録(小売顧客ランク、顧客分類、年代) | 顧客情報を分類するための項目登録 |
フリー顧客設定 | 会員未登録の不特定多数を表す顧客の設定 |
掛取引設定 | 掛売上を行うための締日と回収日の設定 |
CSV一括登録機能 | CSVによる顧客データの一括登録 |
アパレル管理自動くんは、小売だけでなく卸に対しても、豊富かつ便利な機能が揃っています。詳細は下のページをご覧いただけたらと思います。
アパレル特化型基幹システム『アパレル管理自動くん』の顧客管理機能はこちら
アパレルのクラウド顧客管理システムの事例
ここからは弊社のアパレル管理自動くん以外で、アパレルの顧客管理を行える優れたクラウドシステムを紹介させていただきます。
以下、それぞれのご紹介です。
P+KACHI
出典:P+KACHI
P+KACHIシステムはクラウド型の顧客管理・ポイントサービスです。顧客がスマホの中に会員証を入れておき、それをバーコードリーダーにかざすだけでポイントを発行できます。2020年10月時点で導入社数は1,200社、導入店舗数は3,000店舗、ユーザー数は850万人となっています。
Loyal Customer Vision
顧客情報の一元管理によって、効率的に販促活動を行えるクラウドシステムです。顧客カルテも充実しており、お客さまの購買動向をいち早く確認することで、コーディネートの提案などのサービスが向上します。
勤怠管理
勤怠管理は特にクラウドで行いやすい業務です。アパレルの勤怠管理に適したクラウドサービスでは、以下のものがリリースされています。
勤太くん | 「らくらくシフト作成」などの機能が充実 |
FC勤怠 | 高いカスタマイズ性、英語対応 |
勤革時 | 稼働実績10年以上、1ID300円から |
アパレルシステム The Shift - 店頭シフト | アパレル向けの勤怠管理システム |
勤怠管理システムについては下の記事でも詳しく解説しています。
生産管理
製造業向けの生産管理でも、クラウド型のサービスが提供されています。patternstorageというサービスで、2020年秋にリリースされた新しいものです。形式がバラバラの縫製仕様書をOCRによってテキスト化し、資材の発注・管理業務が半自動で行えるようになっています。
アパレル業界において、オンプレミス型で管理される業務
アパレル業界において、オンプレミス型で管理される業務の種類は、企業や店舗によって異なります。
オンプレミスで管理システムを提供している企業も少ないこと、また業務のすべてをオンプレミスで管理するには膨大な費用が掛かるという理由から、「これだけはオンプレミスで管理しなければならない」という業務で採用されます。
ここでは、以下の2業務について事例をご紹介していきます。
以下、詳しいご紹介です。
FASHION eBASE Cloud
「FASHION eBASE Cloud」は、名前どおりクラウドが基本ですが、オンプレミス型の開発にも対応しています。ソフトウェアライセンスの価格は約700万円からとなっています。
採用される例としては、管理するSKUが数百万レベルで膨大な数になる場合や、長期目線で事業を拡大していく場合などです。
WEBカスタマン
出典:WEBカスタマン
アパレル顧客管理システムのWEBカスタマンは、属性・カテゴリ・応対履歴・購入履歴などの管理をスムーズにできるシステムです。WEBカスタマンによる顧客管理をオンプレミスで行っている企業・団体の例としては下記が挙げられています。
- BSフジ
- 時事通信社
- 玉川大学
- 日本サムスン
- ニコン
- 森ビル
あくまで目安の1つですがWEBカスタマンで顧客管理をする場合、この規模になるとオンプレミスの方が良い可能性があると考えるといいでしょう。特に、顧客の情報機密性が高い企業に採用の余地があります。
参考オンプレミスで利用できる顧客管理システム | WEBカスタマン
まとめ:アパレル店舗でクラウドを導入するなら特化型の検討を
アパレル事業では、ほとんどのケースではオンプレミス型よりクラウド型が適しています。そして、クラウドシステムを導入するのであれば、アパレル特化型のサービスを採用するのがおすすめです。
弊社が提供する『アパレル管理自動くん』は、記事中でもご紹介したように、商品管理や顧客管理でアパレルならではの機能を搭載しており、アパレル店舗の管理で特に適しています。同じくアパレル特化型POSである『アパレル管理自動くんPOSレジ』を合わせてご利用いただくことで、日々の業務をさらに円滑に運ぶことが可能です。
それぞれの詳しい機能は下記のボタンをクリックしてご覧いただけたらと思います。各ページでの詳しいご説明に加え、店舗オーナー様向けの資料もご用意しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。
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